2020年1月、ジェネシス・ジャパンの新社長にポール・伊藤・リッチー氏が就任した。伊藤氏は、15年以上にわたってコンタクトセンター業界に従事。2013年にインタラクティブ・インテリジェンスに入社し、カントリーマネージャーを務めた後、GenesysによるInteractive Intelligenceの買収に伴い、2017年にジェネシス・ジャパンに入社した。同氏は、コンタクトセンター向けのクラウドサービス「PureCloud」の日本市場への提供を主導。直近では取締役執行役員 営業本部長として2019年の営業成績を前年比75%増に導いたという。本記事では、伊藤氏に新社長としての意気込みや顧客体験(CX)に対する考えを聞いた。
ポール・伊藤・リッチー氏
ーー改めて経歴を教えてください。
大学卒業後、複数のマスコミを経て、電気通信サービスのレベルスリー・コミュニケーションズに入社しました。日本でインターネットが立ち上がっていく時代を経験しましたが、次第にインターネット体系の販売が価格勝負になり、「顧客に価値を提供している」という実感が持てなくなってしまいました。
そんな中、コンタクトセンター向けのサービスを提供する日本アバイアからオファーを受けました。コンタクトセンターとは日頃から一消費者として関わりがあり、「企業に電話した際、どんな対応をされるか」といったことは気になります。今で言うCXの真ん中に立って、いろんなことができたら楽しいと思い、入社を決めました。
日本アバイアで8年間働いた後、インタラクティブ・インテリジェンスに入社しました。会社の規模は小さかったのですが、市場のニーズと技術の変化に対応できるポテンシャルがあると感じたのです。同社は、おそらく世の中で最初にパブリッククラウドを活用したコンタクトセンター向けのサービスを提供しました。それがPureCloudです。そして「これからはクラウドが伸びる」という考えのもと、GenesysがInteractive Intelligenceを買収して、今に至ります。
ーー今回新社長に選ばれた理由は、何だと思われますか。
営業成績やコンタクトセンター業界での経験に加え、幼少期からいろんな国の文化を経験してきた分、日本と海外の橋渡しができることが評価されたのではないかと思います。米国で生まれ、10代をカナダ、南アフリカ、英国で過ごし、日本の大学に進学しました。日本は、顧客の要求がすごく高い“特殊な国”でもあります。そのため本社や海外の支社に日本のニーズをしっかりと伝える必要がありますが、一方的な姿勢ではうまくいきません。やはり、双方の文化を把握した上で物事を進めることが大切だと考えています。
そして今後のミッションには「自社の印象を変えること」があります。以前の顧客企業は大手通信系や銀行系がメインだったことから、「ジェネシス・ジャパンは大企業にしかサービスを提供していない」という思い込みがいまだ市場の中にあると感じます。確かに過去のサービスは中小企業にあまり適していませんでしたが、クラウドに参入したことで会社の規模に関係なく提供できるようになりました。実際PureCloudの顧客企業には、中小企業から大企業まであります。現在は「ベストなCXを提供したい」と考えている企業がわれわれのサービスを使っているといえるでしょう。2019年のクラウドビジネスは前年比11%増でしたが、自社に対する正しい認識が広まれば、さらに成長できるはずです。