米AvayaがコンタクトセンターのSaaS化に注力している。10月6日にはSaaSで提供する新コンタクトセンタープラットフォーム「Avaya Intelligent Xperiences Contact Center(Avaya IX-CC)」を発表。同時に、Avaya IX-CCを「Microsoft Azure」上で提供すると発表した。
これまでは主に大規模企業を顧客とし、構内交換機(PBX)やボイスコミュニケーションプラットフォームの導入を前提に、コンタクトセンターソリューションを展開してきた同社。Avayaインターナショナルでプレジデントを務めるNidal Abou-Ltaif(ニダル・アボウ=ルターフ)氏は「これまでの(大規模客を対象にした)オンプレミスでの提供とサービスの拡充は継続する」としながらも、「顧客が希望するサービスをスピーディに提供するためには、クラウド(SaaS)でのサービス提供は自然な流れだ」と強調する。
Avayaインターナショナル プレジデント Nidal Abou-Ltaif氏
Avayaは、IBMと協業してIBMのハイブリッドクラウド上でAvayaのコンタクトセンターを利用できるサービスを9月に発表した。「Avaya ReadyNow」と名付けられた同サービスは、一部サービス(機能)のホスティングと管理をプライベートクラウドで実行する。同協業でAvayaの顧客は、世界に拠点を持つIBMのクラウドデータセンターを利用できるようになる。
今回発表したAvaya IX-CCは、これまで同社がオンプレミスで提供していたコンタクトセンターのインフラとはまったく異なるものだ。音声、テキストチャット、認証管理、ログ管理といった機能は、すべてマイクロサービスアーキテクチャで開発する。
プラットフォームにはオープンソースの分散メッセージング基盤である「Apache Kafka」を採用し、「API Management Gateway」を介して外部サービスと接続する。なお、Avaya IX-CCは、既存のボイスコミュニケーションプラットフォームである「Avaya Aura」とシームレスに連携できる。
Avayaインターナショナル 地域担当CTO Ahmed Helmy氏
AI開発の総責任者を務めるAhmed Helmy(アーメド・ヘルミー)氏は、「個々の機能をマイクロサービス化することで、従来とは比較ならないくらい迅速に(機能を)デプロイできる」と説明する。
「もちろん、自社でAvaya Auraを運用している既存ユーザーも、ハイブリッド環境でAvaya IX-CCを利用できる。顧客は将来的にAmazon Web ServicesやGoogle Cloud Platformなど、自社で利用したいパブリッククラウドサービスを選択し、マルチテナント環境へのスムーズな移行が可能だ。Avaya IX-CCはすべてパッケージ化されているので、顧客側で設定作業をする必要はない。機能をカスタマイズしたい場合には、API連携で機能を追加すればよい」(同氏)