会話要約から感情分析まで--AIでオペレーター業務の効率化を目指すAvayaの戦略

鈴木恭子

2019-10-09 08:00

 コンタクトセンターにとっても人工知能(AI)の活用は必要不可欠だ。顧客体験は企業の業績を左右する。顧客からの問い合わせに対して的確な情報を提供すると同時に、その内容を瞬時にデータベース化する。オペレーター支援の観点からもAI活用で効率化できる業務は多い――。

 そう語るのは、米AvayaインターナショナルでAI開発の総責任者を務めるAhmed Helmy(アメッド・ヘルミー)氏だ。

Avayaのインターナショナル地域担当で最高技術責任者(CTO)を務めるAhmed Helmy(アメッド・ヘルミー)氏
Avayaのインターナショナル地域担当で最高技術責任者(CTO)を務めるAhmed Helmy(アメッド・ヘルミー)氏

 近年、同社はAIを活用してコンタクトセンター向けシステムの機能強化に注力している。これまでもAIベンダーと協業し、チャットボットや自然言語処理(NLP)などの技術を製品に取り入れてきた。現在は、さらなるコンタクトセンターの業務効率化を目的に、AIの自社開発を進めているという。

 Avayaはアラブ首長国連邦ドバイで開催された「GITEX Technology Week 2019」(10月6~10日開催)に出展。すでに提供を開始しているコンタクトセンターのAIソリューションや中東地域大手のマシュレク銀行(Mashreq Bank)でのAIを活用したバンキングボットの活用事例を披露した。

Avayaは今回のテーマに「ART OF EXPERIENCE(体験としてのアート)」を掲げている
Avayaは今回のテーマに「ART OF EXPERIENCE(体験としてのアート)」を掲げている

リアルタイムで会話内容を理解してタグ付け

 Helmy氏は「Avayaでは『会話型AI』『分析』『ルーティングとマッチング』の3分野を柱にAIの開発を行っている」と説明する。

 中でも注力しているのが、会話型AIの開発だ。リアルタイムでの音声自動認識→テキスト変換をはじめ、顧客の感情分析や会話内容のサマリー、重要キーワードの自動摘出などの機能を提供する。これらの機能は自社開発のほか、同社とパートナー関係にあるGoogleの「Contact Center AI」を一部取り入れているという。

 例えば、顧客からの初回の問い合わせには「Google Dialogflow」をベースにしたAIで会話から顧客ニーズを分析してカタログ化。新規顧客情報と問い合わせ内容がデータベースに蓄積できる。顧客とオペレーターとの会話はすべてテキスト化され、AIはそのテキストをリアルタイムで分析し、会話の内容を判断してタグを付けていく。

タグ一覧。感情に関するタグのほか、価格やブランド名など顧客の状況に応じてカスタイマズ可能
タグ一覧。感情に関するタグのほか、価格やブランド名など顧客の状況に応じてカスタイマズ可能

 例えば、「I am not interested(興味ありません)」という単語には「rejection(拒否)」、「We are not happy with~(期待外れです)」であれば「dissatisfaction(不満)」といった具合だ。一般的なタグはすでに登録されているが、ユーザー企業がタグを追加することも可能。また、会話の中からAIがキーワードを自動的にリストアップし、会話の文脈からその重要度を分析することもできる。

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