グローリーは、マスクを外さなくても事前に登録した画像データと高い精度で認証が可能な新顔認証エンジンを開発し、これを9年ぶりに刷新するウォークスルー型顔認証システムに搭載して、6月に発売する。同システムは入館管理システムなどの既存製品のほか、パートナー企業向けソフトウェア開発キット「顔認証SDK」にも適用し、順次2020年度中の販売を予定している。
グローリーの顔認証システムは、2003年に開発して以来、スーパー、ドラッグストア、病院、介護施設、書店、パチンコ店など約1000カ所で採用されているという。新エンジンは、2019年に参画したギャンブル依存症患者検知の市場実験において、マスク着用者が多数の状況でも正確に認証したことから有効性を実証しているとのことだ。
新ウォークスルー型顔認証システムの認証イメージ
新エンジンは、ディープラーニング(深層学習)を用いることで、マスクやサングラスの着用、逆光や暗所、事前登録データが斜め顔など、厳しい認証環境でも高い精度で本人認証が行えるという。従来の顔認証エンジンは、マスクやサングラスの着用により顔の一部が隠れることや、明るさなどの認証環境によって認証精度にばらつきが出るなどの課題があったが、これまでのアルゴリズムに深層学習の手法を加え、目元やこめかみ、鼻筋などマスクやサングラスを着用しても隠れない部分の本人特徴をより正確に捉えることで、厳しい認証環境における認証精度を従来比で10倍以上向上させた。
新しいウォークスルー型顔認証システムは、複数店舗の顔情報などを本部で一元管理可能な「本部管理機能」を搭載している。これにより、現場担当者の顔情報登録業務の負担を軽減するとともに、本部からの状況把握や分析なども効率的に行える。登録情報を共有するこの機能は、2019年7月から実施された「渋谷書店万引対策共同プロジェクト」において有効性が確認された。
また、既存の業務システムとのAPI連携機能の追加により、さまざまな業種業界で規模に応じた運用ができるなど、汎用性の向上に加えて、初めて使う人でも直感的な操作ができるようユーザビリティーを徹底的に追求した。さらにセキュリティ面では、配信データなど出力データの暗号化や操作ログの収集・分析機能、登録データの保存期間を柔軟に設定可能にし、個人情報保護をさらに強化している。