本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、日本IBMが提供するテレワーク対応のモバイル管理ツール「IBM MaaS360」を取り上げる。
セキュアなテレワークを実現するモバイル管理ツール
「テレワークをセキュアに行いたいというニーズに対し、IBMではクラウドサービスでMaaS360というツールを提供している。かねて30日間無料で試用できるようにしていたが、このほど、それを90日間に延長したのでぜひ活用していただきたい」――。
日本IBMが先頃オンラインで開いた記者会見で、同社執行役員でセキュリティー事業本部長を務める纐纈昌嗣氏は、新型コロナウイルス対策としてのセキュアなテレワークの実現法を問われてこう答えた。
テレワークを実現するツールが注目されている中、新型コロナウイルス対策による迅速な導入へ向けて、有力なツールはほぼ90日間無料での試用期間を設けている。それに対し、IBMも同様に動き出した格好だ。
そこで今回は、日本IBMが提供するテレワーク対応のモバイル管理ツール「IBM MaaS360」にスポットを当ててみたい。
MaaS360は、企業のIT部門がPCだけでなくスマートフォン、タブレット、IoTデバイスまで容易に管理でき、セキュリティ対策を簡素化できる統合エンドポイント管理(UEM)ツールである。同社の人工知能(AI)技術「IBM Watson」との連動により、コグニティブの洞察、コンテキストの分析、クラウドを活用したベンチマーク機能などを備えており、各種デバイスの詳細な動きを把握することができるという。
そのMaaS360によって、企業のIT部門がテレワークを実現できるように、日本IBMが解説している資料から3つのステップを紹介しておこう。
IT部門がセキュアなテレワークを実現する3つのステップ
第1ステップは、「社員のモバイル端末から社内のウェブアプリケーションに安全に接続」することである。
社内のウェブアプリケーションに、会社が社員に配布しているモバイル端末、あるいはBYOD (Bring Your Own Device) のいずれかを使ってアクセスする形だ。MaaS360とゲートウェイツール「Mobile Enterprise Gateway(MEG)」により、モバイル端末から社内のウェブベースのシステムへの接続が実現できる。(図1)

図1:社員のモバイル端末から社内のウェブアプリケーションに安全に接続(出典:日本IBM)
第2ステップは、「社員のモバイル端末から社内のウェブアプリケーションとSaaSアプリケーションへ安全に接続」することである。
MaaS360と社内の認証システムを連携させ、クラウド認証ツール「IBM Cloud Identity Connect(CIC)」を活用することで、社内システムの利用や業務で使用しているSaaSへの認証をシングルサインオンで登録済みの端末のみに限定させることができる。これにより、未登録の端末からの業務用SaaSの利用を禁止できる。(図2)

社員のモバイル端末から社内のウェブアプリケーションとSaaSアプリケーションへ安全に接続(出典:日本IBM)