AIを活用した「お客さまセンター」、東京都水道局はROIを明示してロールモデルを目指せ

松岡功

2020-03-05 07:00

 本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、東京都水道局が「IBM Watson」を活用した顧客対応を開始した動きについて取り上げる。

東京都水道局が「お客さまセンター」にAIを導入

 東京都水道局は先頃、顧客からの電話の問い合わせに対応する窓口「お客さまセンター」にIBMの人工知能(AI)技術「IBM Watson」を導入したと発表した。顧客サービスのさらなる向上を図るのが狙い。こうした顧客対応へのAI活用は、東京都庁として初めての取り組みとなる。

 これに伴い、IBM Watsonをクラウドサービスとして提供する日本IBMは、同センターにおける電話応答業務の効率化やサービスの向上に向けた取り組みを最新のICTによってトータル的に支援する。

 具体的な支援の仕組みとしては、顧客とオペレーターの通話内容を可視化し、問い合わせに対する回答候補などの有益な情報をリアルタイムで画面上に表示する。オペレーターは回答候補となった表示内容を確認し、個々の状況に応じて迅速かつ的確に回答できるようになるとしている。

 これにより、膨大なマニュアルなどの情報から必要な部分を探し出して回答するようなケースを中心に、相談応答時間の短縮に貢献。加えて、応答中の保留時間の軽減や、新人オペレーターの業務への習熟時間の短縮にもつながると見込んでいる。(図1

図1:東京都水道局のお客さまセンターにおけるAI活用例(出典:東京都水道局)
図1:東京都水道局のお客さまセンターにおけるAI活用例(出典:東京都水道局)

 このシステムはIBMのクラウドサービス「IBM Cloud」上で、IBM Watsonの音声認識機能である「IBM Watson Speech to Text」と、情報探索機能「IBM Watson Discovery」を利用している。

 Watson Speech to Textは、深層学習(ディープラーニング)を活用し、音響的な特徴と言語知識から音声を正確にテキストとして書き起こす機能を提供する。

 一方、Watson Discoveryは、問い合わせ対応に関連するマニュアルなどの文書を取り込み、情報を抽出して意味付けを行った情報の中から、自然言語による文書探索機能を提供する。

 日本IBMは東京都水道局およびお客さまセンターの運営者にも協力を得て、顧客応答に必要な知識をIBM Watsonに学習させたとしている。

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