Flexeraの「State of the Cloud 2020」(2020年のクラウドの状況)によると、Microsoft AzureとAmazon Web Services(AWS)、Google Cloudが顧客の奪い合いを繰り広げ、普及率をさらに伸ばすなか、大企業の93%が複数のプロバイダーを利用するマルチクラウド戦略に賭けているという。
同レポートでは、プロバイダーによるロックインを避けるために企業がさまざまなクラウドを併用しようとしているなか、マルチクラウドがいかにアーキテクチャーの主要な選択肢になりつつあるかが浮き彫りにされている。Flexeraは、大企業554社と中小企業196社の回答者750人を対象に調査を実施した。これら回答者のうちの53%が複数のパブリッククラウド、プライベート裏ウドを活用しているユーザーだったという。
パブリッククラウドプロバイダーに関しては、AWSとAzure、Googleが上位3社であり続け、前年よりも普及のペースを上げている点と、Azureが大企業における普及度合いと、仮想マシン(VM)の数の面でAWSとの差を縮めている点も明らかになった。
また、AWSでは年間支払額が120万ドル(約1億3000万円)以上のユーザーが40%を占めている一方、Azureでは36%となっている。
大企業はマルチクラウド戦略を推進する上でコンテナーを重視しており、同レポートでは以下のようなポイントが示されている。
- 組織の65%はコンテナーとして「Docker」を、58%が「Kubernetes」を採用している。
- AWSとAzure、Googleが提供するサービスとしてのコンテナー(CaaS)はいずれも力強い成長を見せている。
- 大企業はコンテナーの課題に取り組むためのリソースや専門知識が不足していると回答している。
- 組織の33%はマルチクラウド管理ツールを利用している。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってクラウドへの移行が加速される可能性はある。同レポートによると、COVID-19のパンデミックの渦中にあって少なくとも半数の企業が、クラウド計画を加速させているという。実際、企業の約60%は、パンデミックの影響によってクラウドの利用がそれまでの計画ペースを上回るだろうと回答している。