AWS、「Graviton2」プロセッサー搭載の「M6g」インスタンスを一般利用可能に

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-05-13 13:28

 Amazon Web Services(AWS)は米国時間5月11日、「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)で、Armベースの「AWS Graviton2」プロセッサーを搭載した「M6g」汎用インスタンスの一般利用が可能になったと発表した。このインスタンスへの需要の高さは今後明らかになるだろう。

 Graviton2は、買収したAnnapurna Labsの技術を活用してAWSが独自に開発したArmベースのプロセッサーであり、これを搭載したM6gは、Amazon EC2の汎用インスタンスとして6世代目にあたる。

 AWSの年次カンファレンス「re:Invent 2019」で詳細が語られたGraviton2の取り組みは今後、注目を集めることになるだろう。まず、AWSは同社のサーバー能力を強化し、データセンター効率を高めている。また、Graviton2によるコスト削減を顧客に還元することで、IntelやAMDのプロセッサーを搭載したインスタンスで動作する特定ワークロードのGraviton2搭載インスタンスへの移行が進むと期待できるはずだ。

 AWSはブログ記事の中で、Graviton2プロセッサーをベースにして、コンピューティング最適化「C6g」インスタンスと、メモリー最適化「R6g」インスタンスを開発していくと述べた。

 Armベースのこういったインスタンスは、ハードウェアを抽象化する「AWS Nitro System」という仮想化レイヤー上に構築されている。

 M6gインスタンスは、仮想CPU(vCPU)のサイズとして8種類(1、2、4、8、16、32、48、64)のなかから選択でき、ベアメタルでも利用できる。また、利用可能なコンフィギュレーションは、メモリーが最大256ギビバイト(GiB)、ネットワーク帯域幅が最大25Gbps、「Amazon Elastic Block Store」(Amazon EBS)の帯域幅が最大19Gbpsとなっている。

 AWSは同社の「M5」インスタンスと比較すると、最大で40%のコストパフォーマンス向上が見込めると述べた。M6gインスタンスは、アプリケーションサーバーやゲーム用サーバー、中規模のデータベース、キャッシュ用フリートといった目的に適したものとなっている。

 このGraviton2インスタンスは、プレビューでNetflix、Redbox、Nielsen、Hotelbedsなどの顧客に利用されている。M6gインスタンスは、米国東部(バージニア北部)、米国東部 (オハイオ)、米国西部(オレゴン)、欧州(アイルランド)、欧州(フランクフルト)、アジアパシフィック(東京)などのAWSリージョンで利用可能だ。

 Wedbush SecuritiesのストラテジストであるBrad Gastwirth氏は次のように述べている。

 AWSの新たなインスタンスは、IntelのサーバーCPUが市場を独占している状況を揺るがす新たな要素と言えるが、その影響は短期には表れてこないだろう。ただ、このアーキテクチャーが人気を博した場合、(Graviton2の製造に現在携わっていると考えられる)TSMCにメリットが生まれるはずだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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