企業は、社会的距離を確保するルールに厳しく縛られたまま、ゆっくりと経済活動を再開しようとしている。そんな中、多くの組織が自動化プロジェクトを推進しようとしていることが分かった。IoT企業のPod Groupが実施した調査によれば、英国のビジネスリーダーの4分の3近くが、今回のパンデミックによって、職場に新たな自動化の波が訪れると予想しているという。
多くの組織は、新型コロナウイルスの危機に直面する前から、業務の一部自動化を検討していた。しかしいくつかの分野(特に一般消費者に直接接する業界)では、感染が拡大したことで、ソフトウェアのボットや実際のロボットを含めて、自動化を検討する企業の割合が増えている。例えば芸術や文化の分野では、新型コロナウイルスの感染拡大前に自動化について検討していたリーダーはわずか4分の1だったが、現在では4分の3まで増えている。
教育、医療、小売などの業界でも同様の現象が起こっている。これは、今後数年間で、従来の労働力のかなりの部分を自動化技術で代替できるようになる可能性があるという期待の表れだ。
Pod GroupのグローバルチェアマンCharles Towers-Clark氏は、米ZDNetの取材に対して、「変化の理由は文化的なものであり、変化の訪れを受け入れる最高経営責任者(CEO)の意欲を反映したものだ。組織の経営者は、デジタルトランスフォーメーションを短期間で加速しなければならなかった。そしてこれは、企業にとって、この事態がなければやらなかったことを今後も継続するチャンスだ」と述べている。
デジタル化を迅速に進めようとする意欲が高まっているのに加え、企業にとって自動化は、近距離での物理的な接触を減らし、職場での対人距離を確保するという文脈でも魅力的な技術となるだろう。
例えば大手小売企業のWalmartは、すでに米国で店舗の床掃除を行うロボットを導入しており、物理的に通勤できる従業員の数が限られているのを補っている。ロボットのOSを作っている企業Brain Corpは、2020年3月に米国の小売の現場でBrainOSを搭載するロボットの1日あたりの使用量が、前年同月比で平均13.6%増加したと述べている。
また英国では、Starship Technologiesが、ミルトンキーンズの町の中心部でロボットによる配送サービスをスタートさせた。同社はそれまで、ミルトンキーンズの郊外でしかロボットを利用していなかった。ミルトンキーンズの20万人の住民は、同社のアプリでスーパーマーケットに品物を注文すると、タイヤが付いたオーブンサイズのロボットで家の前まで配送してもらえるサービスを利用できる。
調査会社Forresterが最近発表した調査レポートでも、新型コロナウイルスの影響で、企業が自動化への投資を増やす見込みであることが明らかになっている。製造業や医療業界などの分野では、仕事の一部がロボットシステムに置き換えられる可能性がある。