Googleは現地時間6月3日、英国の公共機関が「Google Cloud」を割引価格で利用できるようにすることなどを盛り込んだ合意を同国政府と交わしたと発表した。この合意の対象には、英国民保健サービス(NHS)も含まれている。
Google Cloudと王立調達サービス庁(CCS:Crown Commercial Service)の間で覚書(MoU)が交わされたことで、英国の地方自治体や慈善団体、NHS、政府機関、対象となるその他の公共機関は、Google Cloudを割引価格で利用可能になるなど、Google Cloudの幅広いサービスをより容易に、手頃に活用できるようになる。
対象となる組織は、インフラやアナリティクス、人工知能(AI)、アプリケーションのモダナイゼーションや開発、コラボレーションソリューションを含むGoogle Cloudの広範なサービスに対するアクセスが可能になる。
また、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドソリューション「Anthos」を含むGoogle Cloudのマネージド型サーバーレス製品へのアクセスも今回の合意の対象として検討されている。
Googleは、この合意によって「公共機関のクラウドテクノロジーへの投資に対して最高の価値と条件が提供される」と述べている。また、英国の公共機関がGoogle Cloudのサービスをより手頃に活用して、イノベーションとデジタルトランスフォーメーションを推進できるようにするとしている。
Google CloudでEMEA(欧州/中東/アフリカ)地域の公共セクターの責任者を務めるMark Palmer氏は、「われわれは公共セクター向けに用意されたクラウドによるサービス/ソリューションに焦点を当てて投資してきた。その成果である今回の合意は、当社にとって重要なマイルストーンと言える」と述べている。
Googleによると、割引率はクラウドサービスに対するすべての要求と、予想される支出に基づいて設定されるという。
4月には英政府とMicrosoftが、英国の対象となる公共機関すべてが「Mirosoft Azure」のビジネスツールに割引価格でアクセスできるようにするという契約を結んでいる。
GoogleとMicrosoft、Amazon Web Services(AWS)の各社は、「G-Cloud」と呼ばれる英国政府のクラウドサービス調達フレームワークの下、同国の公共部門に対してクラウドサービスを提供している。このフレームワークによって、公共機関は厳密に規定された完全な調達プロセスを経る必要がなく、「デジタルマーケットプレース」からクラウドサービスを購入できるようになる。
NHSでは、Googleと一部の組織が契約を結んでおり、その多くは英国のAI企業DeepMindの買収を通じたものだ。
Royal Free London NHS Foundation Trustは、「Google Cloud Platform」上で「Streams」というアプリケーションを使用している。Streamsは、患者の急性腎障害の兆候を検出し医師に警告することで、重篤化を防止するためのアプリケーションだ。
Googleは今回の合意が、CCSとの「関係を深める」端緒になると述べている。これにより両者は、公共機関とパートナー関係にある英国の中小企業を「クラウド導入というジャーニーのどの過程にあるかに関係なく」サポートすることにも注力していくという。
またPalmer氏は、「英国の公共機関は、Google Cloudが重視しているセクターだ。英国政府のデジタル変革をより深く支える機会となる」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。