ServiceNowは6月4日、オンラインで開催中の年次カンファレンス「ServiceNow Knowledge 2020」の新たな基調講演をライブ配信した。2019年11月に最高経営責任者(CEO)に就任したBill McDermott氏は「ワークフローの革命は始まったばかり」と語り、同社が描く新しいワークフローとユーザー体験を披露した。
ServiceNowのCEO、Bill McDermott氏
日本でも始まる「Disney+」も顧客サービスでServiceNow導入
「仕事を作り、より良い働き方を提供する」ーーServiceNowが掲げるミッションだが、2003年の創業以来、現在ほど、この重要性が問われていることはない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受け、企業は事業継続と従業員の安全確保の両方を行わなければならず、デジタル化を進めてきたか否かで大きな違いが出ているという。
McDermott氏は、まずCOVID-19の拡大を受け、1万1200人の従業員をすぐに在宅勤務に切り替えたと話した。それを支えたのが、自社の「Now Platform」だ。
ServiceNowは、クラウドのITサービス管理(ITSM)からスタートした後、そのプラットフォームをNow Platformとしてカスタマーサービス、セキュリティ、人事などに拡大している。McDermott氏は、Now Platformを「プラットフォームのプラットフォーム」と呼ぶ。「ミッションクリティカルに対応し、同時にコンシューマーレベルの体験を提供する」と特徴を説明する。Now Platformを導入することでデンマーク最大の金融機関Danske Bankはインシデントを93%削減し生産性を6倍改善したほか、32万3000人の従業員を抱えるDIY大手Lowe'sは96時間でライブ稼働させ休暇申請の処理を行っているなどの事例を紹介した。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」は流行語だが、McDermott氏は「2024年までにDXに7兆ドルを投資する」という予測を引用しながら、「これまで企業はSoR(System of Record)に投資し、大規模かつ複雑なシステムを構築した。これからはこのSoRを機能させ、同時に従業員のモバイル、会話型ツールのニーズに応える必要がある。それには、シームレスに統合できるプラットフォームが必要だ」と述べた。ServiceNowと統合できるサービスは既に500を数えるという。「これが実現する世界がワークフローレボリューション(革命)だ」とMcDermott氏。「素晴らしい体験の背後には、素晴らしいワークフローがある」とした。
最新の事例が、「Disney+」というストリーミングサービスを開始したばかりのDisneyだ。同社はDisney+の顧客サービスでServiceNowの「ServiceNow Customer Service Management(CSM)」を導入、4万件の同時チャット体制を構築している。2019年末に段階的にサービスを開始しているが、加入者は順調に成長しており、毎日のチャットの件数は16万件、インタラクションは20万、ポータル訪問者は50万に上るという。
驚くべきは、このシステムをServiceNowで標準化してからわずか5カ月でライブ(本番運用)にしたという点だ。リモートから基調講演に参加したDisneyのストリーミングサービス担当バイスプレジデント兼最高情報責任者(CIO)のDan Shmitt氏は、「ServiceNowのアカウントチームは毎週社内開発チームのミーティングに参加し、社内と同じぐらいコミットしてくれている」と明かす。技術面ではServiceNowの柔軟性を評価し、「ベスト・オブ・ブリードのツールをエージェントに提供できた」と満足顔だ。