北欧、バルト諸国の「長期的成長戦略」とは?
コロナウィルスの影響で「社会封鎖」を行ったデンマーク。現在では、学校や店舗などが段階的に再開されている。
こうした状況の中、デンマーク政府は企業向けの経済救済策を発表。さらに首都コペンハーゲン地域の外国企業や投資家、人材をサポートするCopenhagen Capacity(CopCap)が、その日本語版を発表した。この救済策は、法人登録(CVR番号取得)をしている全企業が対象になる。つまり、非デンマーク企業、日本企業もこの条件を満たしていれば、対象となる。
CopCapでAI & フィンテックインベストメント部長を務めるOliver Hall氏は、日本語版発表の背景について、「デンマークは小さな国なので、外国の企業に魅力を感じてもらうことが重要です。国がコロナウィルスなどの不測の事態に見舞われたときには、外国企業が理解できる形で情報共有をしないと、外国企業に逃げられてしまいます。そういった意味で日本語版を用意することは自然な流れだったといえます」と語る。
デンマークの人口は約580万人。米国や中国のような「数と大きさ」の戦略は使えない。小さいが故のフレキシビリティ、デジタル化が進んだ社会とそれを可能にする制度を武器に、外国企業を呼び込み、自国のビジネスとテクノロジーの可能性を拡大する必要がある。
「北欧諸国やバルト諸国は自分たちが小さな国で、何とかして他国と渡り合う必要があることを自覚しています。外国企業の誘致活動は、他国と渡り合うための長期的成長戦略としての側面もあるのです」(Hall氏)
日本語版の発表は、この文脈の中に位置付けられるのだ。
「オープン化」はグローバルビジネスの大前提
こうした「他国と渡り合うための長期的成長戦略」は、コロナウイルスに対する欧州のスタートアップ界隈の動きからも見てとることができる。
コロナウィルスの影響が拡大してからというもの、欧州ではコロナウィルスが引き起こしている数々の問題を解決するためのオンラインハッカソンが盛んだ。エストニアで始まった「Hack The Crisis」、欧州委員会主催の「EUvsVirus」、ラトビアで行われた「SportHack 2020 Latvia」などがその例だ。