日立製作所は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けて課題となるレガシーシステムの刷新への対応を強化するため、アプリケーション開発プロセスを自動化する「継続的インテグレーション(Continuous Integration/CI)」を活用した新たな開発環境を整備し、「マイグレーション開発環境構築支援サービス」として提供を開始する。
CIは、アプリケーション開発におけるビルドやテストといった開発プロセスの実行を自動化し、リリースサイクルの短縮や早い段階での品質確保を実現する開発手法。主に、アジャイルソフトウェア開発(アジャイル開発)で適用されている。アプリケーション開発プロセスを自動化できるCIの仕組みをマイグレーション開発環境に適用することで、手作業が多く煩雑なマイグレーション開発の一連の流れを自動化する。
今回提供するサービスでは、開発環境の中核となるCI基盤に、全世界の開発者27万人へ統合開発環境の提供実績を持つアシアルの「Monaca DevOps」を採用し、日立が有するマイグレーションノウハウと組み合わせ、マイグレーション向けのCI環境を整備した。既存システムを新しいプラットフォームに移行するマイグレーションの開発プロセスをCI基盤上に標準化し、開発者やプロジェクト管理者を支援する各種機能やツール群で構成された開発環境を提供する。
サービスの提供イメージ
同サービスでは、リスクの軽減やコスト面から継続して利用されることの多いCOBOL資産のシステム移行を対象とし、マイグレーションの受託開発に適用するほか、自社で開発環境を保有する企業やシステム開発事業者に幅広く提供する。これまで手作業をベースとしたCOBOLのマイグレーションに、開発プロセスを自動実行するCIの仕組みを取り入れ、リモート開発にも対応した環境を適用し、スムーズなプロジェクト立ち上げと開発作業の高度化を実現するほか、移行後の運用保守における機能改修にも活用する。
従来のCOBOLを中心としたマイグレーション開発では、煩雑な手作業が多く属人化しやすいことから、オープンシステムの開発に慣れ親しんだ技術者でも扱いやすい新しい開発環境が求められている。同サービスではマイグレーションに関するサービスラインアップを強化し、基幹システムの多くで採用されるCOBOLシステム向けに、アジャイル開発などオープンシステムの開発で主流であるCIの仕組みを取り入れた新しい開発環境を提供する。
同サービスでは、顧客ごとのプロジェクトに応じて検討・コンサルティングし、最適な形で提供する。その際、プロジェクトの早期立ち上げを図るほか、開発者や管理者の業務の負荷軽減と、開発、運用、テストなど各工程における精度向上を支援するため、従来プロジェクト別に新規開発が必要であったCOBOLのバージョン差異を変換するコンバーターのひな型を提供する。
またテスト工程の3~5割を占めるといわれる目視で行っていた新旧システムの帳票出力結果の比較作業を自動化する東京システムハウスの「帳票現新比較ツール」、さらには、従来人手で集計・報告するためタイムラグが発生していた、各処理の実行状況をタイムリーに可視化・管理できる「ダッシュボード機能」などを取り揃えている。
「マイグレーション開発環境構築支援サービス」の提供価格は個別見積りとなる。