日立製作所とMicrosoftは6月26日、東南アジアや北米、日本市場の製造・物流業界向け次世代デジタルソリューション事業に関する複数年にわたる戦略的提携に合意したと発表した。まず7月にタイでサービス提供を開始する。
今回の提携は、新型コロナウイルス感染症の「ウィズ/アフターコロナ」の新常態(ニューノーマル)における企業の復興や変革の支援を目的にしているという。遠隔地での保守や自動化、省人化の需要拡大に対応したソリューションを提供する。具体的には、日立の「Lumada」ソリューション、日立産機システムのIoT対応産業用コントローラー「HXシリーズ」、MicrosoftのAzure、Dynamics 365、Microsoft 365などを組み合わせる。これにより企業の生産性向上や業務効率化を支援する。また、両社で協業展開のため人材も育成する。
また、日立が以下の3つのソリューションを提供するとした。
1.生産性向上を実現するマニュファクチャリングの高度化
Hitachi Digital Supply Chain、Azure IoTなどを活用して製造現場の「Man(人)」「Machine(設備)」「Material(材料)」「Method(方法)」の4Mデータを収集し、生産の進捗(ちょく)確認や設備の稼働状況、作業員の動作などの可視化と分析を行い、工場の運用最適化と生産性向上を図る。
2.データアナリティクスによるロジスティクスの最適化
Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス、Azure Mapsなどを活用し、配送の条件(納品日時、物流拠点の位置、走行ルート・時間、渋滞、積荷時間など)や熟練者の経験を取り入れたデータ分析により、効率的な配送計画を自動立案する。
「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」を活用した物流最適化・業務効率化のイメージ
3.予兆保全とリモートアシストによるメンテナンス
HoloLens 2とDynamics 365 Remote Assistなどを活用し、製造・流通現場とオフィスをシームレスに接続し、写真、テキスト、音声などによる作業証跡の保存、遠隔での作業指示を可能とすることにより、現場の作業員の作業効率化や高品質化を支援する。
これらソリューションの導入と管理では「Lumada Solution Hub」が利用され、企業顧客はAzure上でデジタルソリューションの早期検証、本番環境への移行、多拠点展開ができるという。またLumadaとAzureの産業データ基盤の連携に向けて協議も始めるとしている。