CTOとは何か
最高技術責任者(CTO)は組織内の技術の管理に責任を負う役職だ。CTOの仕事には、技術戦略の策定から、サイバーセキュリティや製品開発に至るまで、さまざまなものが含まれる。CTOは、技術のトレンドを幅広く理解し、事業目標に沿ってイノベーションを推進する能力を備えていなくてはならない。
CTOはどんなスキルを持っているのか
給与調査を専門とする企業であるPayScaleは、CTOが備えていることが多いスキルとして、ソフトウェアアーキテクチャー、リーダーシップ、IT管理、製品開発、プロジェクト管理などを挙げている。しかし最近では、デジタル製品や、技術的なビジョン、研究開発(R&D)などの先端的な領域についての知識が重視されるようになっている。
CTOの仕事は
Gartnerによれば、CTOは技術インフラストラクチャーの物理面および人員面の管理全般に責任を負っており、これには技術の導入、統合、システム管理、運用技術者の育成なども含まれる。CTOはまた、ベンダーとの関係管理を行い、期待されているサービスを確実に提供させる役割を果たす。
同社によれば、トップクラスのCTOに対する企業の期待は高まっており、CTOの役割は単なるインフラの管理にとどまらず、技術的なイノベーションの後押しや、デジタル製品の開発を主導することにまで及んでいるという。Gartnerは、CTOは、事業部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する要求の高まりに合わせて、その役割を進化させていくべきだと述べている。
この主張は、人材紹介会社Harvey NashでCIOプラクティスの責任者を務めるLily Haake氏の意見とも符合する。Haake氏によれば、これまでのCTOは、インフラを担当する最高情報責任者(CIO)直属の上級技術者だった。しかし最近では、さまざまなタイプのCTOが登場しており、中には、企業のデジタルプラットフォームを管理する、大規模なソフトウェア開発組織を率いているCTOもいるという。
「CTOが意味するものは非常に微妙で、その肩書きの意味は、場合によって大きく異なる」とHaake氏は言う。「理想的なCTOがどのようなものかを説明するのは難しい。産業によっても、組織の規模によっても、最終製品やサービスによっても変わってくる」
CIOとCTOは何が違うのか
これはよい質問だ。CIOは、企業の中でもっとも地位が高いIT担当役員だと定義されている場合が多い。CIOとCTOがどう違うかは、ビジネスの種類によって大きく異なる。
企業によってはどちらか一方しか設けていない場合もあり、そうした組織では、CIOやCTOの肩書きを持っている人物が、その企業でもっとも地位の高いIT担当役員だということになる。しかし、多くの大企業には両方が置かれており、その場合問題は複雑になる。