MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険は代理店(募集人)向けシステム「MS1 Brain」を2020年2月から本格的に導入。顧客に関するあらゆる情報を収集、分析、活用する機能を搭載して、顧客と代理店、三井住友海上をビッグデータと人工知能(AI)で結ぶことで顧客のニーズを的確に把握して最適な商品やサービスを提供することを狙っている。
MS1 Brainには、日本テラデータが提供するデータウェアハウス(DWH)基盤「Teradata Vantage」とdotDataが提供する「AutoML 2.0プラットフォーム」を活用、MS1 Brainで使用するAIモデルの開発速度は約10倍向上したという。
日本テラデータとdotData Japanの協業を発表した6月26日のオンライン記者会見で発表された。dotDataは日本電気(NEC)から戦略的に“カーブアウト(事業を社外事業として独立)”してデータ分析自動化を提供している。
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三井住友海上火災保険 デジタル戦略部 開発担当部長 松村隆司氏
三井住友海上は以前から代理店向けシステムとして「MS1」を運用、保険料の計算などの基本機能を提供している。同社は中期経営計画「Vision 2021」でデジタル化を重点課題の1つに示しており、「先進デジタル技術を活用した顧客価値の向上や“フィデューシャリーデューティー(顧客本位の業務運営)”を実践」する一環としてMS1 Brainを開発した。
2019年11月に開発が発表されたMS1 Brainは同社や代理店が保有する顧客情報や外部の企業情報など、Teradata Vantageに蓄積したデータを分析し、顧客需要の予測分析や代理店が次に取るべきアクションを提案する「NBA(ネクストベストアクション)」、満期を迎えた顧客に対して適切な保険プランを説明する動画視聴、代理店自身の経営を支援するサポートと4つの機能を備えている。
全国30店の代理店が約1年間の試験運用を進めてきた。記者会見に登壇した、三井住友海上火災のデジタル戦略部 開発担当部長 松村隆司氏によると「特約付帯率は約2.5倍に」拡大し、2020年2月から本格導入を開始した。現在、3万以上の代理店が利用しているという。