MS1 Brainの需要予測を担うdotDataのAutoML 2.0のベースとなる自動機械学習(Automated Machine Learning:AutoML)自体は一般的な機械学習(ML)技術である。
データ分析では最初に課題を設定し、データ収集やデータ加工、特徴量の設計を経て、機械学習による可視化や運用というプロセスを踏むことになる。dotData Japan代表執行役社長 森英人氏は「学術的な技術をビジネスの世界に持ち込んだ意味では重要だが、(機械学習以降のプロセスを指す)後半しか自動化できていない」と説明する。

dotData Japan 代表執行役社長 森英人氏
予測分析可能なビジネスインテリジェンス(BI)のダッシュボードやアプリケーション向けにAI/MLモデルの開発を加速できるというAutoML 2.0は課題設定後の手順をすべて自動化することで、多くの企業が課題としてきたデータエンジニアやデータサイエンティストの人材不足を解消できるものとして期待できる。
一方で新型コロナウイルスの影響は大企業のデータ分析戦略に大きな影を落とす。森氏は「(多くの大企業が)数百、数千ものデータサイエンティストを雇用していたが、(新型コロナウイルスの世界的大流行に伴い)レイオフを敢行。さらにキャッシュフローの問題で雇用し続ける余裕もなく、AutoMLが必要になっている」と解説した。

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AutoML 2.0の効果としては「投資信託を例にすれば『積み立てNISA購入者』を潜在顧客と仮定するケースが多い。実際は利用するクレジットカード種別は普通で、2週間以内の利用回数が10回以上、米国ならカリフォルニア在住のエンジニアでATMから引き下ろす額が月に400ドル以内」(森氏)といった洞察から金融商品を購入する潜在顧客を予測可能だという。
だが、機械学習に欠かせないのはデータである。AutoML 2.0は構造化されたリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)からデータを取得する必要があり、森氏は過去に日本テラデータでコンサルティング部隊を率いていた経歴も相まって今回の協業に至った。

日本テラデータ エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部 事業部長 小永井崇氏
日本テラデータ エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部 事業部長 小永井崇氏は「ビジネスを成長させるための解を獲得すること」だとデータ分析の目標を定義。部門のDWHや(DWHから目的に応じて取り出したデータである)“データマート”ではなく、各部門のさまざまなデータを組み合わせることで“解”を得られると述べつつ、「スモールスタートでも将来の統合データ分析基盤を見据えることが重要」(小永井氏)と部門を横断するデータ分析基盤の重要性を指摘した。