米大手半導体メーカーのAnalog Devices(ADI)は米国時間7月13日、Maxim Integratedを買収すると発表した。買収額は約210億ドル(約2兆2000億円)。
買収は株式交換で行われ、Maximの普通株1株につき、ADIの普通株0.63株を割り当てる。買収が成立すれば、ADIの株主が新会社の株式の約69%を保有し、残る約31%をMaximの株主が保有することになる。
買収完了は2021年夏を予定している。両社の取締役会はすでに承認しているが、買収の成立には規制当局の承認が必要となる。
ADIとMaximは、どちらも半導体市場では著名な企業だ。米マサチューセッツ州に本社を置くADIは、特に工業用、自動車、通信、民生市場向けにアナログIC、ミックスドシグナルIC、デジタルシグナルプロセッシング(DSP)ICをはじめとする幅広いプロセッサーの開発製造を行っている。2019会計年度のADIの売上高は約60億ドル(約6400億円)。
Maximは米カリフォルニア州に本社を置く1983年に設立された半導体メーカーで、ADIと同様にアナログIC、ミックスドシグナルICの設計や製造を手がけており、セキュリティやエネルギー効率の向上にも焦点を当てている。車載、産業用、ヘルスケア、通信、民生用、IoTアプリケーション向けに集積デバイスを提供している。同社の2019会計年度の売上高は約23億ドル(約2500億円)となっている。
買収が成立すれば、Texas Instrumentsなどの半導体業界最大手企業との競争も現状より有利になるとみられる。
ただし、この規模の合併には欧州連合(EU)、米国、中国などの規制当局の承認が必要となる可能性が高く、大規模な半導体企業の買収は、当局の承認を得られない場合もある。米中の貿易戦争が過熱していた2018年には、米半導体メーカーのQualcommが、中国の規制当局の承認を得られず、NXPを440億ドル(約4兆7000億円)で買収する計画を断念している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。