「週5出勤は必須ではないかもしれない」「賃料の高い都心にオフィスを構える必要はないのかもしれない」「そもそもオフィスという箱は必要なのか」——。
新型コロナウイルスの蔓延によって、変化することを余儀なくされた私たちは、働き方の本質と向き合い始めたとも言える。
現に従来の働き方を見直す企業も出てきている。今回は政府による緊急事態宣言が解除された後もテレワークやリモートワークを継続し、その過程で「これからの働き方」をより良くするためのツールを導入した企業の事例を紹介する。
ビジネットシステム(東京・港区)は、以前「オフィスにいるようなコミュニケーション--仮想オフィスサービス3選」で取り上げた「Remotty」を4月2日に全社導入した。仮想オフィスサービスは、メンバーが異なる場所で働いていても、オフィスで一緒に働いているような感覚でコミュニケーションを図れるツールだ。Remotty導入について、ビジネットシステム取締役の前川義己氏に話を聞いた。
同社は1999年に設立され、POSシステム販売管理や倉庫管理、顧客管理などができるASP型アパレルシステムの開発・販売からスタート。2016年には本社を六本木に移転。業界知識を活かしたコマースクラウドの構築・運用に注力し、メンバーを大幅増員。セールスフォースのコマースクラウドの導入実績では26サイトの導入を行い業界一の実績を持つ。2018年には広島事業所立ち上げと、右肩上がりの成長を見せる企業だ。現在(2020年1月時点)67名の従業員を抱える。
リモートワーク開始と「逆戻りしないだろう」という確信
Remottyの導入決定をしたのが3月13日。それから約2週間で、情報戦略担当者を中心に準備を進め、Remottyを活用したリモートワークを始動した同社。
現在は総務担当者が1名、サポートデスク担当者が数名、オフィスに出勤しているが、その他のメンバーは全員リモートワークに切り替えている。ボードメンバーのみ金曜日にオフィスに集まってミーティングをするくらいで、通勤する頻度や人数はミニマムだ。
同社がRemottyを導入するまでの流れを見てみよう。下記が詳細なスケジュールであり、従来型の働き方→ニューノーマルな働き方へ、スピード感をもって舵を切ったことがわかる。
- 3/10 Remotty機能説明&デモ受講
- 3/13 Remotty導入決定
- 3/13~3/18 ガイドライン作成(3/18 社長レビュー)
- 3/19~3/26 ノートPCなどテレワーク環境の整備
- 3/27 社内説明会
- 4/2 テレワーク開始(試用期間なしで完全リモートワーク開始)
背景には、同社が働き方改革の流れを受けて、2019年の終わり頃からテレワークを検討していたことがあった。
「年末くらいから『オフィスはいらないのでは』といった声が上がることはありました。弊社はメンバーの約8割がエンジニアというIT企業で、場所を問わない多様な働き方を実現しやすい組織です」と前川氏(以下同)。
取締役の前川義己氏