矢野経済研究所(中野区)は7月6日、テレワーク関連ソリューション市場調査を発表した。
ビデオ/ウェブ会議システム、ビジネスチャットツール、オンラインストレージ、タスク/プロジェクト管理ツールの4種類のオンラインツールを“テレワーク関連ソリューション”とし、緊急事態宣言下の7都府県のオフィスに勤務、テレワークを実施した男女500人を対象としたインターネットアンケートを実施。利用状況、市場動向、ポストコロナの働き方の変化などを調査している。
4種類のオンラインツールの利用率は、ウェブ会議システムが最も高い79.2%。ビジネスチャットが46.2%と続く一方で、タスク/プロジェクト管理ツールは8.4%だったという。
新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークで、ウェブ会議システムやビジネスチャットを初めて利用したユーザーも多いと説明。オンラインツールの利用がごく短期間で大きく進んだとしている。

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国内のITベンダー動向も調査している。事業者売上高をベースとした2019年度のビデオ/ウェブ会議システム市場規模は、前年度比4.7%増の405億円。2020年7月から開催予定だった東京五輪に向けたテレワーク環境への投資、台風や地震などの自然災害対策としての事業継続計画(BCP)の観点、働き方改革の浸透などから導入が進んだという。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症への対応でウェブ会議システムを中心とした大きな需要拡大を予測。前年度比20.4%増の487億5000万円になるという。インターネットアンケート調査でもテレワーク実施者の8割近くがウェブ会議システムを利用。円滑なテレワークへの大きな役割を果たすとしている。

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従来利便性があまり知られていなかった4種類のオンラインツールだが、新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワーク実施を契機に、大勢のワーカーがその利便性を知ったという。全面的に今後普及が進むと予測している。
特に距離と時間を劇的に効率化できるウェブ会議システムは、対面での会議の代替に留まらず、セミナーなどのイベントや営業活動、採用における面接など、幅広い分野で利用拡大が進むという。
同時に、ビジネスチャットツールも電子メールや電話、通話に替わり、広く普及していくとしている。
ただし、これまでのようにツール個々で発展していくのではなく、コミュニケーションツールとして複合化が進む可能性もあるとしている。