「ただ、Remottyをはじめとするサービスは、利便性も効率性も非常に高いです。対面でのコミュニケーションから、オンラインでのコミュニケーションへとシフトしていって、いずれ後者が“主”になるでしょうけれど」
Remottyを導入し、テレワークに切り替えてから見えてきたメリットは、他にも数多くある。例えば、残業が減っていること。他のメンバーがまだ働いているから……と、変に気を遣うシーンもなく、先に帰宅するのを躊躇うこともない。
もうひとつ、リアルのオフィスで面倒なのが、「(1)参加者全員が入るかどうか、(2)該当する会議室が空いているかどうか、を確認してから会議室を押さえる」という調整だ。
Remottyでは、外部のテレビ会議ツールと連携して、大人数でも入れる会議室をワンクリックで用意できる。その機能を頻繁に活用して、同社でもオンラインでの会議やイベントを開催している。
「以前、役員と社員10人ずつで“Zoom飲み会”を実施したんです。社内コミュニケーションを深める目的で行ったところ好評でした。プロジェクトで関わる人以外と、深く話をする機会はなかなかありません。お互いの知らない顔、例えば思いもよらない趣味などが明らかになり、親睦を深めることができたと思います」
相手を想像する力が求められる時代
Remottyを利用して約3カ月(取材は2020年6月26日にオンラインで実施)。前川氏がその間に考えてきたのは、「オンラインコミュニケーションが主流となった世界で、磨いていかなければならないスキル」の存在だ。
対面コミュニケーションにおいては、相手の顔色や表情、語尾などから、ちょっとした変化をつかみやすい。しかし、オンラインコミュニケーションは、対面のそれより情報の粒度が粗く、量としても少ない。
「画面越しに相手を見て、観察して、想像する力を高める必要があるでしょう。現に『部下と顔を付き合わせてコミュニケーションできないのが不安だ』と話す管理職も。ツールが対面コミュニケーションに近づくのか、自分の五感での感じ方を鍛えるのか……それぞれが後者を心がける方が、話は早いのではないかと考えています」
そのスキルを磨くため、ではないが、同社ではRemottyの「オンライン雑談」と呼べるような機能が頻繁に使われている。
Remottyには、周囲の声が“雑談”として、SNSのようにタイムラインで流れる機能がある。メンバーそれぞれの状況を「なんとなく把握できる」ため、コミュニケーションしやすくなる。
「仕事で何より大切なのは、一人ひとりがやりがいを感じながら、仕事と向き合うことだと思います。そのためには、相手のやっていることを見て、適切に評価することが欠かせません。『あのプレゼンよかったね』『わかりやすい資料を作ってくれて助かったよ』などのちょっとした一言が、オンラインでも求められていると思います」
「(上司や他のメンバーが)自分の仕事を見てくれている、気にかけてくれている、とメンバーが思えるようなやりとりを、いかにしてオンラインで自然と発生させるかは、これからの課題だと感じています」
最後に
Remottyを導入し、リモートワークに転換した同社は、今も「この時代に最適な働き方」を模索している。この先、オフィスをなくす可能性も「なくはない」ようだ。
コロナウイルスと長く付き合っていかなければいけない今、すべての会社が、新しい働き方を考えて取り入れる岐路に立たされていると思う。
そんな皆さんに少しでも参考にしてもらえるような事例を今後も届けていきたい。