QualcommはNXP Semiconductorsの買収金額を440億ドル(約4兆7000億円)に引き上げることに同意した。今回の買収金額引き上げは、Broadcomから仕掛けられている敵対的買収への対抗策だという見方もある。
Qualcommは米国時間2月20日、子会社のQualcomm River Holdings B.V.が、NXP Semiconductorsの買収にあたり、買収金額の引き上げに同意し、1株当たりの価格を110ドルから127.50ドルに引き上げると発表した。
発表によれば、QualcommとNXPの取締役会はすでにこの取引を承認している。
修正された合意では買収金額は約440億ドルとなり、NXPの全発行株式が買い取りの対象となる。
新たな契約条件では、最低買い取り条件が発行済み株式の80%から70%に引き下げられている。価格の引き上げによって、これまで買収に反対していたElliott ManagementなどのNXPの株主の支持も獲得した。
また同社は、合計でNXP株の28%以上を握る9株主と拘束力のある合意を結んだ。
買収資金は、現金と借入れを組み合わせて準備する予定だという。
Qualcommの最高経営責任者(CEO)Steve Mollenkopf氏は、「2019会計年度の非GAAP EPSの目標である6.75~7.50ドルを達成することには自信があり、これにはNXPの買収による1株当たり1.50ドルの利益増が含まれている」と述べている。
同社はすでに、承認を受ける必要がある9つの規制当局のうち8つから承認を受けている。
半導体市場におけるライバル企業BroadcomがQualcommに仕掛けている敵対的買収の経緯を考えれば、今回の発表のタイミングは興味深い。
Broadcomは2017年11月に、Qualcommに対して約1300億ドルでの買収提案を行っている。この提案は取締役会の全会一致で拒否されたが、同社は2018年2月に再び約1460億ドル規模の敵対的買収の最終案を提示した。
Broadcomが数カ月間にわたってQualcommやその株主に買収を提案し、Qualcommがそれを払いのけるという展開が続いた末に、両社の首脳が顔を合わせて買収条件についての協議を行ったのが2月14日のことだ。
QualcommのPaul Jacobs会長は協議後、Broadcomの提案は依然として買収額が低すぎるため考慮に値しないとしたが、協議は「建設的だった」と述べていた。また同氏は、この買収契約が規制に抵触する可能性についても指摘していた。
Broadcomは今回の動きを受け、「複数の選択肢を検討中だ」との声明を出した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。