トレンドマイクロは、企業を狙うサイバー犯罪者がインターネットの“闇市場”で情報や攻撃ツールなどを売買する状況の変化を2015~2019年に調査し、その結果を発表した。
それによると、闇市場では企業内ネットワークへ侵入するためのアクセス権が売買されている。従来はコンピューターを遠隔操作するためのリモートデスクトッププロトコル(RDP)が売られていたが、2019年はRDPに加えて既に侵入済みの遠隔操作ツール(RAT)やクラウドストレージへのアクセス、経営層レベルの認証情報などもあり、特にRATは企業側の監視を逃れやすいという。
販売価格は侵入先企業の“価値”によって異なり、例えば、米国の保険会社では1999ドル、欧州のソフトウェア会社では2999ドルで、Fortune 500企業になれば1万ドルにもなるとしている。
英国企業へのネットワークアクセス権の販売例(出典:トレンドマイクロ)
同社は企業側の対策として、RDPなどの通信を行うポートの開放の有無、ログイン情報の管理、RAT通信を確認した際のアクセス元確認を挙げ、不信な通信が確認された際には、情報窃取やランサムウェア攻撃など、さらなる攻撃の兆候がないかを確認すべきとアドバイスしている。
この他に、世論操作に利用し得る有権者情報などが売買されたり、マルウェア攻撃の代行サービスが低価格化したりしているという。