テレワークを中心に既存のオフィスは縮小へ――。こんな取り組みを始めた企業が目立ってきた。そんな折り、NECが「ニューノーマル(新常態)時代の新たなオフィスの在り方」について、最新のデジタル技術を活用した本社内の取り組みを公開した。その会見で同社幹部が語った「オフィス縮小」に対する見解とは――。
ニューノーマル時代の新たなオフィスの在り方とは
NECが先頃、「生体認証や映像解析などのデジタル先進技術で実現する、ニューノーマル時代の新たなオフィスの在り方を見据えた本社システムの実証」についてメディアに公開するとともに会見を開いた。
その公開された内容については関連記事をご覧いただくとして、筆者は別の意味でも今回の会見に注目していた。というのは、新型コロナウイルス感染防止策として広がった在宅でのテレワークが、ニューノーマル時代に向けて定着する可能性が高くなってきたのに伴い、既存のオフィスを縮小する動きが目立つようになってきたからだ。果たして、NECはどうするのか。
NEC執行役員常務兼CIO兼CISOの小玉浩氏。マスク未着用の写真提供を依頼したところ、同社広報から「感染症対策も今回の取り組みの重要なテーマなので写真もマスク着用のまま使ってほしい」との小玉氏の強い意向ありとのこと。ここではその意向を尊重した。
この話については、会見の最後の質疑応答で出てきた。そのやりとりは後ほど紹介するとして、その前に今回の取り組みの責任者で会見の主たる説明役を担ったNEC執行役員常務兼CIO(最高情報責任者)兼CISO(最高情報セキュリティ責任者)の小玉浩氏の「新たなオフィスの在り方」に通じる説明を記しておきたい。(写真1)
「ニューノーマル時代に向けて、さまざまな分野で変革の取り組みが加速し、これから数年で世界は大きく変わるだろう。その中でもデジタル技術の活用が一気に進むのが、働き方だ。既にテレワークがそれを大きく変えつつある。つまり、従来のオフィスを基本とした働き方がオンラインでライフスタイルやビジネススタイルとも融合し、大きく変化する」(図1)
社会全体のデジタルシフトとDX(デジタル変革)が推進
小玉氏はさらにこう続けた。
「私たちはリアルとオンラインを融合し、その変化に向けて仕事のプラットフォームを再構築して、Well-Beingの実現、生産性向上、イノベーションの強化を図り、社会全体の持つ力を引き出していく。そして、つながる仕事のプラットフォームを『Workplace as a Service』として提供していきたい。そのためにはコンセプトだけでなく、先進のデジタル技術を駆使し、まずは自ら実践することが重要だ。そこから解を見いだし、さまざまなコラボレーションやエコシステムによって、価値を継続的に提供できるようにしたい」(図2)
つながる仕事のプラットフォームを「Workplace as a Service」として提供