VMwareとAmazon Web Services(AWS)は米国時間7月15日、「VMware Cloud on AWS」に対する一連のアップデートを発表した。より幅広い顧客に向け、このクラウド製品を利用しやすくするとともに、多様なユースケースに対応できるようにすることを目的とした両社の取り組みの成果だ。今回の発表には、低価格の新たな「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)インスタンスや、本番環境での初期費用を引き下げられる新たなクラスター構成、中小企業やパートナー向けに敷居を低くすることを目的とした新たなマルチテナントクラウド管理サービスが含まれている。
VMwareのクラウドサービスビジネス部門担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるMark Lohmeyer氏は報道陣に対し、「主に想定していることは、われわれがVMware Cloud on AWSでサポートできる環境の範囲や顧客の対象をいかに拡大し、現在オンプレミス環境で『vSphere』を使っているような、どのような顧客でもVMware Cloud on AWSを活用できるようにする、そしてこの環境で優れたAWSのサービスすべてを活用できるようにするかということだ」と話した。
Lohmeyer氏によると、共同開発したクラウドサービスVMware Cloud on AWSは、発表から約4年を経た現在も成長を続けているという。VMware Cloud on AWSは現在、AWSが展開する24リージョンのうち17リージョンで提供されている。2020年6月の時点で、仮想マシンの総数は前年比で3.5倍、ホストの総数は2.5倍に増えた。500を超えるチャンネルパートナーがVMware Cloud on AWSのサービスコンピテンシーを達成しており、VMware Cloud on AWSの顧客が利用できる認証済みまたは検証済みのテクノロジーソリューションは300を超える。
2019年の調査によると、顧客がこれらのサービスを利用する上で直面する課題は、コスト管理とネットワークの複雑さの問題に集中することだ。調査に回答した人の約半数は、コストがVMware Cloud on AWSを導入する理由になっていると述べていた。
今回の新たなサービスは、このような問題を緩和することができる。新しい「i3en.metal」インスタンスは既存製品と比較すると、1ホストあたりのストレージコストで見た場合、1GBあたりおよそ半分というコストで、RAWストレージキャパシティーの4倍の容量を提供する。
また同インスタンスは、大量のストレージを使用し、高いパフォーマンスを要求するワークロードを念頭に置き、第2世代の「Intel Xeon Scalable Processor」を採用している。さらに、コストパフォーマンスに優れているため、データセンターのマイグレーションや、災害復旧プロジェクトといった用途にも適している。
i3en.metalインスタンスはリレーショナルデータベースといったアプリケーションを念頭に置き、低レイテンシーのNVMe SSDを採用している。
また両社は、2ホスト構成の本番ワークロード向けクラスター製品を発表した。同製品は3ホスト構成のクラスター製品と比較すると初期費用が最大で33%安価になるという。
Lohmeyer氏は「この構成は、小規模から中規模市場の法人顧客とともに、こういった顧客ベースを主に対象としているわれわれのソリューションプロバイダーや(マネージドサービスプロバイダー)という、われわれの多様なパートナーコミュニティーにとって特に魅力的な製品になるだろう」と述べた。
また同氏によると、顧客は自動化サービスを活用することで、2ホスト構成のクラスターから容易に拡張/強化していけるという。
この他、VMwareは同社の「VMware Cloud Director Service」をVMware Cloud on AWS上で提供するとしている。Cloud Director Serviceは、エンドユーザー向けのマルチテナントサービスを支援するサービスであり、既にVMwareのマネージドサービスプロバイダーやクラウドプロバイダーといった多くのパートナーがVMwareベースの独自データセンターで活用している。
さらに両社は、「VMware Transit Connect」のプレビュー版を発表した。「VMware Cloud on AWS SDDC」と「Amazon Virtual Private Clouds」(Amazon VPC)、オンプレミス環境をまたがる接続ファブリックを構築するためのネットワーク拡張オプションとなる。これは、プロビジョニングと統制の自動化を容易に実現することを念頭に置いた、広帯域幅かつ低レイテンシーなサービスであり、「AWS Transit Gateway」サービスをベースにしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。