情報処理推進機構(IPA)は12月24日、テレワークでの不安に関する調査「ニューノーマルにおけるテレワークとITサプライチェーンのセキュリティ実態調査」の結果を中間報告した。テレワークを実施する取引先のセキュリティ対策に5割以上が不安を感じていることが分かったとしている。
調査は、IPAの委託を受けたNTTデータ経営研究所が11月2~13日に、企業のIT管理者や従業員にウェブアンケートを行い、テレワークの実施状況やルールの策定状況、テレワーク実施に伴う業務委託に関する不安などを尋ねた。有効回答は2372件。
まず10月31日時点のテレワーク実施状況は、「実施中」が58.9%、「実施しておらず、今後も実施しない」が20.4%、「実施しておらず、今後実施予定」が3.8%、以前に実施したが同日時点で実施していないとした回答者が19.0%だった。テレワークの開始時期は、4月の緊急事態宣言発令以降が57.3%だった。
テレワーク実施状況、出典:IPA
また、会社業務でのウェブ会議ツールの利用は、緊急事態宣言発令前の45.7%から宣言後は77.3%に増加した。テレワークの実施頻度は、「週3~4日」が26.6%で最も多く、「基本的に完全テレワーク」が25.8%で続き、回答者の半数以上が週の半分以上でテレワークをしていることが分かった。一方で、ほとんどテレワークを実施していない回答者も約5分の1(21.5%)に上っている。
テレワーク中のセキュリティの不安については、「インシデント発生時の対応方法が分からない」とする答えが、テレワーク実施頻度が週2日以下の回答者で4割以上あった。「基本的に完全テレワーク」とした回答者の48.2%が「セキュリティインシデント発生時にマニュアルが参照できないこと」を上げている。
テレワーク中のトラブル発生時の対応への不安、出典:IPA
1年前に比べて取引先企業の行動が変化したと感じる回答者は68.5%で、変化した内容では「オンライン会議が増えた」(52.3%)や「テレワークが導入された」(37.4%)、「訪問回数が減った」(37.1%)が目立っている。取引先の行動変容に不安があるとした回答者は74.5%に上り、「コミュニケーションがとりづらい」(42.0%)や「必要なIT知識の急増」(33.3%)、「本当にセキュリティが担保されているか不安」(21.8%)、「オンラインでのやりとりからの情報漏えい」(20.0%)などが上がった。
取引先のテレワークのセキュリティに不安があるとした回答者は51.0%で、不安と感じる内容では、「情報漏えい経路を判別しにくい」(27.1%)や「端末のセキュリティ対策が不十分」(24.1%)、「テレワーク実施場所のセキュリティ対策が不十分」(23.2%)などとなっている。
取引先がテレワークを実施することの不安の有無(左)と具体的な不安の内容(右)、出典:IPA