新型コロナウイルスの感染対策として広がったテレワークが、さまざまな面で「デジタル格差」を浮き彫りにしている実態が明らかになってきた。これを放置してはならない。
明らかになった年収によるテレワーク実施率の差
結論から申し上げる。テレワークの実施率が、個人の収入、地域、産業、企業規模によって、かなり差があることが分かってきた。これはまさしくデジタル格差が浮き彫りになったものだ。政府をはじめとした行政機関、そしてIT業界としてもこの問題を放置したままにしておいてはならないのではないか。
これが本稿の訴えである。
以下に、その根拠となる調査結果を記す。
賃貸住宅大手の大東建託が10月16日に発表したテレワーク実施率の調査結果によると、年収1000万円以上では7割を超えたが、200万円未満だと1割強にとどまった。また、首都圏(1都3県)ではほぼ4割だったが、東名阪以外は2割に達しなかった。さらに、従業員1000人以上の企業では4割を超えたが、1000人未満では2割に届かなかった。
この調査は9月中旬にインターネットで実施。47都道府県の人口比に合わせて回答者を割り付けし、2120人が回答した。今年3月以降にテレワークを実施したと答えた人は全体の26.3%だった。
年収別の詳細を見ると、1000万円以上が71.2%、800万〜1000万円未満が59.1%、600万〜800万円未満が43.0%、440万〜600万円未満が26.5%、200万〜400万円未満が19.2%、200万円未満が12.5%だった。
地域別の詳細は、首都圏が39.3%、関西(2府/3県:和歌山除き)が31.6%、愛知県が22.6%、東名阪以外が17.7%。勤務先企業の詳細は、従業員1000人以上が43.3%、1000人未満が19.9%だった(図1)。
年収/地域別のテレワーク実施率(9月と6月の調査結果、出典:大東建託の資料)