2021年に向けたIT企業のトップメッセージや年頭所感を紹介する。
Blue Prism 社長 長谷太志氏
2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響を社会的にも経済的にも大きく受けた1年でした。このコロナ禍において、お客さま、パートナーさまと一丸となり、今回のパンデミック対策に取り組むことで、われわれはBlue Prismの果たすべき社会的使命への想いを新たにしました。例えば、日本を含む幾つもの国家レベルの取り組みに参画させていただきました。Blue Prismのライセンスとサービスを無償提供する「COVID-19対応プログラム」を通じて、米国中小企業管理局の給与保護プログラムへの支援や日本の支援給付金業務といった社会的意義の高い事業において、短期間に発生する大量の業務を、Blue Prismのデジタルワーカーが瞬時に解決できることを証明いたしました。
そして、当社の多くのお客さまからも感染症対策に関連して発生した新規業務、業務量の増加に対して、「Blue Prismを活用することで迅速に対応できた」とのコメントを数多く頂戴いたしました。Blue Prismはセキュアな環境で稼働する統合管理型アーキテクチャーのため、リモートワークが主体となった際も、通常どおり安定稼働し、お客さまの事業継続に貢献することができました。
また、総務省の調査によると、日本の生産年齢人口は1995年の8700万人をピークに、2020年は既に7600万人まで減少しており、2050年には5275万人になると言われております。30年後の日本は、今より30%以上の労働力が失われ、中長期的な経済成長を阻害する可能性がありますが、コロナ禍における成果を鑑みると、生産労働人口減少という社会的課題に対しても、第3の労働力と言われているデジタルワーカーが大きく貢献できると確信しています。
デジタル庁の設立など日本社会がデジタル化に大きく舵を切り、デジタルトランスフォーメーションを加速させている中で、お客さま、パートナーさまからBlue Prismが提供するデジタルワーカーに対して、大きな期待をいただいていることも改めて実感いたしました。2020年中は、Blue Prismをビジネス変革の全社的なプラットフォームとして採用いただく案件が増加しました。2020年の年頭所感でも表明させていただきましたが、2019年6月の社長就任以来力を入れてきた、カスタマーサクセス体制の確立、インダストリーソリューションの展開、パートナーエコシステムの拡充が実を結んできた証だと捉えています。
また、2020年11月よりクラウドサービスのBlue Prism Cloudを日本市場に本格展開し、ニューノーマル時代においてスピード感を持ったビジネス変革を推進しているお客さまに導入を進めていただいています。
最後に、2021年の目標として「RPAを卒業すること」を宣言いたします。ご存じのように、Blue Prismは、RPA(Robotic Process Automation)という言葉を生み出した老舗ベンダーとして知られています。Blue Prismは、英国大手金融機関が、アウトソーシングや大規模IT投資といった選択肢がある中で、投資対効果が高いビジネス変革の手段として採用したソフトウェアロボットによる業務自動化が事業の始まりです。長期間にわたり大量の重要業務を安定して実行することが前提のため、セキュリティ、コンプライアンス対応、運用管理、拡張性などが考慮され、TCOが低減するアーキテクチャーになりました。
一方、日本においては、働き方改革、特に個人の生産性向上といった文脈で、業務自動化のコンセプトが紹介された経緯もあり、RPAは便利ツールとしての側面が強調され、長期安定運用に必要な機能や体制が必ずしも整わないまま、導入が進められました。そのため、デジタル化を推進すべく本格展開を検討すると、運用管理や拡張性、そして投資対効果といった課題が浮き彫りとなり、Blue Prismのデジタルワーカーに数多くのご関心をいただいている状況です。
そこで、2021年からは便利ツールとしての導入と明確な一線を引くために、RPAという言葉は他のツールにお任せし、Blue Prismは、本来のビジネス変革を支えるプラットフォーム、特にAI(人工知能)を活用した「インテリジェントオートメーション」の価値訴求を推進し、Blue Prismのデジタルワーカー活用による日本の競争力強化へ貢献していくことに注力いたします。
業界の老舗ベンダーの使命として、パートナーさまとの協業関係をさらに深化させながら、日本のお客さまの成功に引き続きコミットしていく所存ですので、本年も変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。