ServiceNow Knowledge

ワークフロー革命を支援するServiceNow--コロナ禍での効率化事例

末岡洋子

2021-05-12 08:00

 米ServiceNowは5月11~13日、オンラインで年次イベント「ServiceNow Knowledge 2021」を開催中だ。初日の基調講演では最高経営責任者(CEO)のBill McDermott氏ら幹部が登場し、「プラットフォームのプラットフォーム」を活用するさまざまな事例を紹介した。

ワクチン接種などコロナ禍の急速な対応をワークフローで実現

 ServiceNowのCEOに就任して2回目のKnowledgeとなったMcDermott氏は、「ワークフロー革命が起きており、われわれがその震源となっている」と述べた。ワークフロー化することで、「直線的思考」からテクノロジーの成長に合わせた「エクスポネンシャル(指数関数的)思考」へのシフトを進めるべきだとアドバイスした。

ServiceNow 最高経営責任者のBill McDermott氏
ServiceNow 最高経営責任者のBill McDermott氏

 コロナ禍でも同社は開発の手を緩めることなく機能を開発した。3月にはNowPlatformの最新版のQuebecリリースを発表している。「この1年半にNow Platformの機能は倍になった」とMcDermott氏は胸を張る。

 コロナ禍に関連したものとしては、この1年強の間に、従業員の安全な職場復帰のための「Safe Workplace Suite」「Workplace Service Delivery」、ワクチン接種管理の「Vaccine Administration Management」(VAM)などを発表したが、同イベント中もさらなる新機能を発表した。例えば、オフィスが三密(密集・密閉・密着)にならないようにチームの作業スペースを割り当てる「Neighborhoods for Workplace Service Delivery」や、「Safe Workplace Dashboard」での職場復帰のプランニング機能などだ。またVAMでは、在庫管理やスケジュールで機能の強化を加え、別の場所でワクチン接種の予約をするなどのことが可能になっている。

 McDermott氏の下で進めている業界別ソリューションについても、製造向けやヘルスケア向けを発表した。

 「顧客はServiceNowでワークフローを数週間で実装し、すぐに成果を得ている」とMcDermott氏。その例として、スコットランドの国民保険サービス機関NHS Scotlandを紹介した。

 NHS Scotlandは、1万4000人の従業員を抱え、400万人の市民が加入する。新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種管理のために、ServiceNowでシステムを構築した。一刻も早くワクチン接種を進めると同時に、高齢者など脆弱な人を優先するため国レベルのデータと地域のデータを組み合わせたワークフローを作成する。地域単位でのウェイティングリストを作成したり、市民が接種の時間をリクエストしたりできるようにした。マスクなどの個人用防護具(PPE)の需要と供給の管理も行っているそうだ。ダッシュボードは30分単位で更新されるので、リアルタイムに状況が把握できる。実装に要した時間は6週間という。

 NHS Scotland ディレクターのDeryck Mitchelson氏は、ビデオメッセージで「NHSは14カ月前とは全く異なる組織になった。何をすべきか、データが教えてくれる。データドリブンに生まれ変わった」と述べた。

 同じく短期間でのシステム構築の例として、McDermott氏は全米女子バスケットボールリーグWNBAおよび男子のMBAを紹介した。フロリダにある「Bubble(選手の感染防止のためにWalt Disney World内に設置した施設)」で行うリーグの選手、スタッフ、ベンダー、ゲストなど総勢約2600人のPCR検査などの安全のためのワークフローを「Employee Workflow」を使って構築、シーズン中2万5000回の検査を行うなどのことができたという。実装期間はわずか1週間以内だった。1万3000件以上の必要な書類を処理し、安全にプレーを継続する支援をした。

 「Now Platformは1つのアーキテクチャー、1つのデータモデル、1つのプラットフォームという特徴を持つ。顧客がどんな課題を抱えていても、どんなワークフローを求めていても、Now Platformを利用することで実現を支援できる」とMcDermott氏。ワークフロー化することでチームワークが深まり、さらに大きなことを達成できると約束した。

 顧客およびパートナー最高責任者のLara Caimi氏は、山火事への応答システムも紹介した。山火事は米国で2020年に50万件以上発生するなど深刻な問題となっている。連邦当局は、それまで手作業で26のシステムを使って対応作業を進めてきたが、Now Platformを使って、消火などに必要な機器、航空機、作業メンバーなどを割り当てるシステムを構築。対応時間を大幅に短縮しているという。

フォーカスはAI、統合、自動化--2022年にはRPA統合へ

 最後に登場した製品およびエンジニアリング最高責任者のCJ Desai氏は、最新の技術動向について語った。ここ数年のServiceNowのフォーカスは、「AI(人工知能)」「インテグレーション」「オートメーション」の3つという。

ServiceNow 製品およびエンジニアリング最高責任者のCJ Desai氏
ServiceNow 製品およびエンジニアリング最高責任者のCJ Desai氏

 AIでは、既に実現している機能として、「AI Search」「AI Ops」があるが、2021年は特に取り組んだ技術として仮想エージェントの機能強化となる「Virtual Agent Topic Recommendations」を挙げた。自然言語認識を利用して問題に関連する解決策をAIが判定し、ユーザーに提案する。既にフロリダ州の高速道路の保全と自動車当局がこの機能を使い、免許更新やナンバープレートなどの質問への対応を自動化しているという。

 インテグレーションについては、「IntegrationHub」として簡単に連携できる「Spoke」を提供する。「2020年は3500のインテグレーションが提供された。これらを使うことで、ServiceNowを使って価値を得るまでの時間(Time to value)を70%高速化できる」とDesai氏。特に、戦略的提携を結ぶMicrosoftと実現する「Microsoft Teams」統合の採用が増えていると報告した。

 オートメーションでは、「ワークフロー、インテグレーション、機械学習などオートメーションに関連した技術を全て提供する唯一のプラットフォーム」とDesai氏。2022年前半にRPA(ロボティックプロセスオートメーション)をプラットフォームに組み込む計画であることも明かした。

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