IT機器の価格は、部品の不足やサプライチェーンの問題、需要の急増を受け、上昇するものと考えられる。
Cisco Systemsの2021会計年度第3四半期決算を見ればそのことがよく分かる。同社の決算はIT需要の先行指標となっており、多くの場合には他のテクノジーサプライヤーの今後の状況を早い段階で見極めるための尺度ともなっている。またGartnerは、世界的な半導体不足が2021年を通して続き、通常のレベルに戻るのは2022年第2四半期以降になる見込みだとしている。
Ciscoの最高経営責任者(CEO)Chuck Robbins氏のコメントを念頭に置いておいてもらいたい。部品のインフレは現実であり、企業は価格の上昇に先立って購入を加速させる可能性がある。米労働統計局によると、4月の米消費者物価指数は前年同月比の上昇率が4.2%になったという。
Ciscoの第3四半期は堅調だったが、インフレ懸念は同社の見通しに影を落としている。同社は第4四半期の売上高の伸びを6~8%、非GAAPの粗利益率を64~65%と見込んでいる。また、第4四半期における非GAAPの1株あたり利益は81~83セントになるとの見通しを示している。一方、アナリストらは非GAAPの1株あたり利益を85セント、粗利益率を66%近くと予想していた。
Ciscoの幹部らによると、同社は部品メーカーと供給や価格を確約済みだが、2021年末まで品不足が問題になるという。Robbins氏も、ネットワーキングソフトウェアや職場復帰支援ソフトウェアの需要が高い中、サプライチェーンの問題によって価格が押し上げられる可能性があると認めている。同氏は以下のように述べている。
われわれに分かっているのは、これらコストのいずれかが上昇したり、このインフレがより息の長いものになるという結論に達した場合、必要に応じて戦略的な価格引き上げに目を向けるようになるということだ。既にこうした作業は始まっている。そして、われわれはいくつかの意思決定を下してもいる。このため、価格の引き上げに踏み切るだろう。これはかなり流動的な状況だ。顧客は、リードタイムが長くなれば、間違いなく今までよりも早めに注文するようになるだろう。それが理にかなっているためだ。
Robbins氏はこの後、価格の引き上げについてのさらなる説明を求められた際に以下のように付け加えている。
価格面に関して言えば、われわれは特定の製品で価格を引き上げるという決断を下しており、残りの製品ポートフォリオについても、コストを維持できると考えられるものを基準にして、厳しい目を向けていく。ただ現時点では、顧客を最優先にしており、顧客のもとに製品を送り届けるわれわれの能力を高め、最適化しようと力を尽くしている。というのも、それによって顧客との関係をさらに深め、そうした顧客との間の長期的な関係でより良い位置に付けると考えているためだ。
実際のところ、CiscoはGartnerの2021年サプライチェーンランキングでトップの座を飾っている。