Ciscoは、同社の「アズ・ア・サービス」の取り組みを拡大する製品である「Cisco Plus」を発表した。この製品は顧客に柔軟な利用モデルを提供するものだ。
「Cisco Live」で発表されたこの動きは、Dell TechnologiesやHewlett Packard Enterprise(HPE)などをはじめとする多くの大手エンタープライズIT企業が、サブスクリプションモデルへの移行に全力を挙げていることとも軌を一にしている。
Ciscoによると、Cisco Plusは、データセンターネットワーキング、コンピュート、ストレージハードウェアの「アズ・ア・サービス」モデルを提供する。徐々に同社の大半のポートフォリオをアズ・ア・サービスで提供するとしている。
Ciscoが最終的に目指しているのは、同社のルーターやスイッチを、同社のコンピュート製品や監視プラットフォーム製品と組み合わせた、「サービスとしてのネットワーク」(NaaS)と呼ばれるクラウドモデルだ。
Ciscoの事業および戦略、エンタープライズネットワーキングおよびクラウド担当シニアバイスプレジデントであるKip Compton氏によれば、Cisco Plusは、データセンターやハイブリッドクラウドを構築するためにCisco製品の購入を拡大しようとしている顧客向けの製品だという。同社は、2021年中にWANやクラウド全体をカバーするネットワーキング、セキュリティ、可視化を統合した製品バンドルを、NaaSとして限定リリースする予定だとしている。
CiscoのNaaSを利用すれば、アプリケーションとクラウドを統合し、事業運用経費(OpEx)モデルで経費を支出し、統合的なポリシー、可視化、アナリティクス、セキュリティなどを得ることができる。Compton氏は、CiscoのNaaSに対する取り組みでは、まずセキュアアクセスサービスエッジ(SASE)に力を入れると述べている。
Compton氏は、可視性が鍵になると述べている。「柔軟な利用モデルにフォーカスするほかに、Cisco Plusはさらなる可視性を得られるようになる」と話した。Ciscoは最近、ThousandEyesの買収を発表している。
同社は今後、Cisco Plusの製品を順次ロールアウトしていく予定だ。その第一弾は、2021年中頃にリリース予定の「Cisco Plus Hybrid Cloud」になる。
Cisco Plus Hybrid Cloudは、「UCS(Unified Computing System)」によるデータセンターのコンピュートや「Nexus」によるネットワーキング、同社のストレージ製品にサードパーティーのストレージやソフトウェアを組み合わせて、オンプレミス、エッジ、パブリッククラウドを融合させる製品になる。顧客は事前にサービスのレベルを選択し、14日以内に納品を受けることができる。最初のアズ・ア・サービス製品は、オーストラリア、カナダ、ドイツ、オランダ、英国、米国で限定リリースとして利用可能になる。
Ciscoによると、「Cisco CX Cloud」を利用したセルフサービス型のシンプルな体験がCisco Plusを差別化する要素となる。Cisco CX Cloudをベースとするセルフサービス型のエンゲージメントポータル「Cisco Plus Experience」で、顧客やパートナーは、アズ・ア・サービスのポートフォリオについて学び、利用し、利用状況を追跡できるようになる。
サービスとしてのソリューション
Ciscoのエンタープライズネットワーキングおよびクラウド担当シニアバイスプレジデントのTodd Nightingale氏は、米国時間3月3日に開催されたカンファレンスで、同社は単なるサービスとしてのハードウェアプロバイダーや、サービスとしてのソフトウェアプロバイダーとして見られたくはないと述べている。同社が目指すのは、技術スタックをとりまとめてサービスとして提供することだ。
Nightingale氏は、Ciscoは「完全なソリューションをサービスとして提供する」ことを目指していると述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。