シスコシステムズは2月12日、オンラインで記者会見を行い、国家的なデジタル化施策を支援する「カントリー デジタライゼーション アクセラレーション(CDA)」を日本で推進すると表明した。
シスコシステムズ 代表執行役員社長の中川いち朗氏
CDAは、社会課題の解決や経済的な成長などを目的に、政府機関や企業、組織と連携してデジタル技術を活用する取り組み。40カ国で900以上のプロジェクトを実施しているという。会見であいさつした代表執行役員社長の中川いち朗氏は、コロナ禍でデジタル化が急務となり、9月1日には政府がデジタル庁を発足させることから、今回のCDA推進を表明するに至ったとした。
米Cisco Systems バイスプレジデント兼グローバルイノベーションオフィサーのGuy Diedrich氏
2月3日には、米Cisco Systems バイスプレジデント兼グローバルイノベーションオフィサーのGuy Diedrich氏が平井卓也デジタル改革担当大臣と会談。Diedrich氏は、平井大臣に「デジタル化へのリーダーシップを感じた」とし、「『誰もがつながる社会』の実現が基本的人権の1つと考えており、CDAを通じて日本のデジタル化を支援するCiscoのコミットメントを表明したい」と述べた。平井氏も記者会見にビデオメッセージを寄せ、同社の支援に期待感を示した。
日本におけるCDAでは、「安心・安全な公共インフラ」「教育のデジタル化」「テレワークの推進と高度化」「新型コロナウィルス対策と遠隔医療」「サプライチェーン」「規制改革とデジタル社会」の6分野を掲げ、既に複数のプロジェクトが進行中という。
日本におけるCDAの取り組み(シスコシステムズ資料より抜粋)
例えば、サプライチェーンでは、同社製ネットワーク機器の信頼性や安全性などを向上させるためにNECおよびアラクサラネットワークスと戦略的提携を結んだ。教育では、政府の「GIGAスクール構想」に伴い製品やサービス提供に加え、研修プログラムの「ネットワークキングアカデミー」を展開し、国内では約7万人が既に受講しているとする。
医療では、新型コロナウイルス感染症対策において幾多の支援を実施する。特に、医療従事者や関係者の感染を防ぐべく、発熱外来でのタブレット端末を用いた問診や、ウェブ会議サービスを利用したオンライン診療などを提供しているとした。
また、NTT東日本や新潟県と、ローカル5G(自営型の第5世代移動体通信システム)の実証実験も進める。低遅延性など5Gの特徴を生かした高精細カメラ映像による遠隔会議や、立体VR(仮想現実)による遠隔協調作業システムなどの効果を検証している。
シスコシステムズ 代表執行役員会長の鈴木和洋氏
代表執行役員会長の鈴木和洋氏は、「デジタル化では新しい社会インフラ必要。前回の東京五輪で新しい社会インフラが日本の高度成長を支えたように、デジタル技術を組み入れた新しいインフラをパートナーととにも提供し、日本の成長に貢献したい」と話した。