川崎市と富士通は、先端のデジタル技術を活用して新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動の影響による環境問題などの課題を解決していくため、「健康」「安全・安心」「環境」「仕事・暮らし」を4つの重点テーマとして掲げ、2014年に両者で締結した包括協定を強化する。
そして、富士通の創業地でありテクノロジーの中核拠点である川崎工場(川崎市中原区)とその周辺地域において、AI(人工知能)や5G(第5世代移動通信システム)、スーパーコンピューター技術や次世代ネットワークなどの活用による先進モデルの構築を目指す。
両者は市民と企業などをつなぐ市民参加型リビングラボを設置し、デジタル技術の活用による市民の声の収集やデザイン思考ワークショップなどを7月から順次行う。
また、学生自らが川崎市の未来を描くなど、社会課題解決を試みるインターンシップを実施する。さらに、川崎市立聾学校でのIT活用によるダイバーシティーを重視した新しいアイデア創出など、市民を中心としたインクルーシブな街づくりを推進する。
両者は、2017年からスーパーコンピューター技術を活用した川崎市臨海部での津波被害を軽減する共同研究などを行ってきた。今後は経済、社会、環境に関わるバーチャルな情報をデジタル上でリアルタイムに再現するソーシャルデジタルツインを4つの重点テーマに幅広く実装していくことで、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」に貢献していく。ソーシャルデジタルツインとは、人・物・事の相互作用(ミクロな事象)や社会現象(マクロな事象)まで社会全体を丸ごとデジタル化することで、多様で複雑化する社会における課題を解決する技術群を指す。