富士通はサントリーロジスティクスと共同で、AI(人工知能)を活用してフォークリフトの操作を判定するシステムを開発したと発表した。これにより、フォークリフトの安全運転評価業務が効率化すると期待される。サントリーロジスティクスは、自社の倉庫に同システムを順次導入する。
安全運転評価業務とは、物流倉庫内を走るフォークリフトのドライブレコーダー(ドラレコ)映像を点検し、安全運転かどうかを評価し、運転者にフィードバックする業務。サントリーロジスティクスでは、2018年にフォークリフトにへドラレコを導入し、これまで同社の安全推進部の従業員が年2回計500時間かけて数百名分のドラレコ映像を点検してきた。
今回開発したシステムは、フォークリフトを運転する上で危険運転につながる行為である「ながら操作」「静止確認不足」「一時停止確認不足」の危険運転シーンを検知する。同システムを活用することで、安全運転評価業務にかかる時間を従来比約半分削減できるという。
映像の変動量の分析やディープラーニングを用いた解析を行い、フォークリフトの走行状態(走行中、旋回中、停止中)、運転者の乗車状態(乗車中か否か)、爪の昇降位置の状態(操作中、停止中)といった3つの状態の組み合わせから、危険運転シーンを検知する。
例えば走行状態が「旋回中」かつ爪の状態が「爪操作中」である場合は、「ながら操作」の一つである「旋回ながら操作」の運転であるといったように、危険運転シーンを検知する。
動画の表示イメージ(出典:富士通)
また同システムでは、検知した危険運転シーンと共に検知の根拠を動画に表示し、評価者に提示する。さらに動画内の安全運転シーンの割合を見積もる係数をサントリーロジスティクス独自の安全係数として表示する。
安全係数は運転者がフォークリフトを操縦している時間に対する安全な運転をしている時間の割合で算出され、安全運転の時間が多いほど安全係数が高く表示される。これらにより、評価者は特に注意が必要な危険運転のシーンに集中して評価することができる。また、運転者はこれまで以上に適切な運転評価のフィードバックを受けられるようになる。