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海外コメンタリー

取引先との交渉をAIに任せられる日はやってくるか

Greg Nichols (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-05-25 06:30

 人工知能(AI)の汎用性が高まり、人間と機械の役割が交じり合う興味深い時代になりつつある。その最新の例が交渉の場だ。

Let a negotiation robot get you the best deal

 Pactumと呼ばれる企業がその良い例だろう。同社は、グローバル企業に対してパーソナライズされた取引交渉の大規模な自動化を行えるAIベースのプラットフォームを提供している企業で、資金調達ラウンドのシリーズAで1100万ドル(約12億円)を調達して競争の激しいAI市場に参入してきた。同社が目指しているのは、顧客に最高の取引を提供することだ。

 Pactumの共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるMartin Rand氏は、「他のAI企業は人件費の削減に力を入れているが、Pactumは収益改善のための価値を提供することに力を入れている。どんな企業であっても調達行為を行っているため、どんな企業でも当社が提供している自動化された『交渉サービス』(Negotiation-as-a-Service、NaaS)の恩恵を受けられる」と述べている。「これまで、この技術を利用できるのは一部の革新的な企業だけだったが、Pactumはどんな企業でもAIが生み出す価値の可能性を享受できるようにする。最初はFortune 500企業からだが、もちろんそこで終わりではない」

 今回の資金調達を経て、同社がこれまでに獲得した資金の総額は1500万ドル(約17億円)となった。Atomicoを主幹事として実施された最近の資金調達ラウンドには、Metaplanet(Jaan Tallinn氏)、Checkout.comの最高技術責任者(CTO)Ott Kaukver氏、TransferWiseのチェアマンで共同創業者のTaavet Hinrikus氏、Teleportの共同創業者Sten Tamkivi氏などの電子商取引分野の立役者が参加している。

 同社が提案する価値の興味深いところは、売り文句が通常のAI企業と一線を画している点だ。Pactumが提供しているのはウェブベースのツールで、その売り文句には、他のAI企業が唱えているものと似通った部分もある。同社のシステムは、顧客が重視する価値を交渉相手とすり合わせることによって「価値を高め」「時間を節約する」ためのもので、交渉戦略のベストプラクティスを用いて「ウィンウィン」の関係を実現する。

 その新規性は、AIを売りにしている企業がよく唱えている効率の改善よりも、具体的な経費節減によって、今ある資本を最大限に活用することを重視している点にある。同社の広報担当者は、あるFortune 500の顧客企業が月々150万ドル(約1億7000万円)の経費節減に成功したケースを例に挙げている。節約した分の資金は、ただちに他の分野に投資することができるわけだ。Pactumは、同社の主力製品を「Negotiation-as-a-Service」(サービスとしての交渉、NaaS)と呼んでいる。

 AtomicoのパートナーであるBen Blume氏は、「Fortune 500企業の調達責任者らは、経済活動のバックボーンは交渉による合意だとわれわれに語ってくれたが、彼らが使っている取引先との契約の管理手法は、非効率性や不確実性、そして未開拓の価値に満ちている」と述べている。「(Pactumの経営者である)Martin、Kaspar、Kristjanの3人はこのことを知り、Pactumを設立して、供給業者が使いやすく、双方にとって良い結果が得られる交渉プロセスを実現する独自のアプローチを開拓した。取引交渉に関する深い専門知識と世界クラスのAI人材を併せ持つPacTumは、新たな自動化ソリューションを開発していく上で極めて有利な立場にあり、あらゆる調達企業と供給業者の双方に大きな価値を生み出す能力を備えている」

 Pactumは、今回調達した資金をプラットフォーム展開フェーズの規模拡大に使用するという。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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