Gartnerは米国時間6月28日、IaaSパブリッククラウドサービス市場に関する新たな調査の結果を発表した。IaaS市場は2020年に40%以上成長し、643億ドル(約7兆1400億円)に拡大したという。Amazonは他社を大きく引き離して262億ドル(約2兆9100億円)の売上高を上げ、市場シェアは約41%となった。
提供:Gartner
Amazonの売上高の伸びは29%近くで他社よりも低くなっている。これは、Amazonがこの市場で優位を占めていることを反映した結果だと考えられる。
Microsoftは売上高が127億ドル(約1兆4100億円)で2位につけた。成長率は約60%だ。Gartnerによると、Microsoftの成長はコロナ禍で大きく後押しされた。Gartnerは、パンデミックの影響で「ヘルスケア分野における人工知能(AI)を活用したボットを用いるアプリケーションや、製造分野のデジタルツイン、小売分野のEコマースなど、ミッションクリティカルなワークロードの移行」に対する関心が「Microsoft Azure」の顧客の間で高まったとしている。
これらの2社以外で市場シェアの高い企業は、阿里巴巴(アリババ)、Google、華為技術(ファーウェイ)だ。アリババは中国で最もシェアの高いIaaSプロバイダーだ。2020年には60億ドル(約6700億円)以上の売上高を上げ、53%近い成長を遂げた。Gartnerによると、アリババは教育分野で最も高い伸びを示しており、その成長率は105%だった。同社のビジネス向けコミュニケーション・コラボレーションプラットフォーム「DingTalk」が在宅で勤務する従業員や学習する学生にダウンロードされ、成長に寄与したという。
ファーウェイは5位に入り、IaaS市場で200%の成長を見せた。2020年の売上高は27億ドルだった。中華圏からの売上高が90%以上となった。
Googleは2020年、売上高が66%増加し、40億ドルとなった。Gartnerによると、小売、政府、医療分野における支出が2020年のGoogleのIaaSにおける成長に寄与した。また、「ハイブリッドクラウドとマルチクラウドのモデルで、クラウドアプリケーションの開発と導入のサポートに注力」したことも成長につながったという。
Gartnerによると、2020年のIaaS市場は現在トップ5社が80%を占めている。IaaSプロバイダーの9割弱が成長を果たしたという。
ハイパースケールプロバイダーは、分散型クラウドとエッジソリューションの開発を続けており、パブリッククラウドのリーチをプライベートクラウドやオンプレミスのロケーションに拡大し、データ主権、ワークロードのポータビリティー、ネットワーク遅延に関連する組織のニーズに対処しているとGartnerのリサーチ担当バイスプレジデントであるSid Nag氏は述べた。
「コロナ禍で非常に多くの組織がパブリッククラウドを利用するようになってきたことも伴って、この市場は2020年も2桁成長を果たした。ファーウェイは2019年以降、機器の販売からクラウドサービス事業への投資を重視することへと重い軸足を向けたことが実を結び始めている」(Nag氏)
Nag氏は「CIOがクラウドのIaaSとPaaS個々に投資する時代はとっくに終わっている」とし、「クラウド市場の成長は続くが、プロバイダーにとっての本当の機会は、エッジ、5G、AIといったクラウドに隣接する技術の市場における成長であり、CIOは新たに登場した複雑なユースケースに対処する技術への投資を計画している」と述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。