IDC Japanは、国内企業のIT投資動向に関する調査の結果を発表した。2020年度の国内企業のIT支出実績は、全体では前年度比で「変わらない」とする企業が6割を超え、前年度からの大きな変化が見られなかったとしている。
調査は、CIO(最高情報責任者)や情報システム部門長またはそれに準じる立場の管理者を対象に行われた。IT支出実績を規模別に見ると、「変わらない」の回答割合は大企業(従業員数1000人以上)で40%、中堅企業(同100~999人)で52%だった。「増加」は大企業で35%、中堅企業で25%に達し、どちらも「減少」を上回った。新型コロナウイルス感染症の影響でIT投資の優先度が高まり、リモートワーク環境の整備やデジタルトランスフォーション(DX)推進のための支出が拡大したという。
DXに取り組む企業は6割を超え、大企業や通信/メディアと金融が先行しているという。DX推進部門の状況は、全体の8割超がIT以外の部門で、大企業は「デジタル専任組織」「デジタル専任の子会社/関連会社」「横断的なプロジェクトチーム」が35.6%、中小企業では「管理部門」が33.0%を占めた。
また2020年度は、企業規模が大きいほど、自社の競争力強化を目的に内製化を行う企業の割合がたかった。一方で、IT部門は人材不足/スキル向上が最大の課題になっているとしている。
IT部門が直面する課題(上位10件)、出典:IDC Japan