日本郵船は、富士通の量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」を活用し、自動車専用船の積み付け計画作成業務の一部を自動化させる。クラウド上に同技術を含むシステムを構築し実業務でのトライアル運用を開始した。
これにより、プランナーが積み付け計画作成に要する時間を年間4000時間以上削減できると見込む。また急な計画変更へのより効率的な対応やプランナーの経験の違いによる積み付け計画の品質のバラつきを抑えるなどの効果も期待できるという。
デジタルアニーラは、量子現象に着想を得たデジタル回路で、現在の汎用コンピューターでは難しい、膨大な組み合せの中から最適なものを高速に導き出すことができる新しい技術。
システム概要図
日本郵船のLNG燃料自動車専用船「SAKURA LEADER」
クラウド上に構築したシステムは、日本郵船の社内システムから積み込む車両のサイズや積み降ろす港の情報を取り込み、デジタルアニーラによって解を求めることによって、積み付け計画作成業務の中で最も重要な席割り作業(さまざまな条件を考慮し車両の最適積載位置を計画する作業)を約30分で自動的に完了させる。
なお 導入前の実証実験では、これまでベテランのプランナーが1隻当たり最大約6時間を要していた積み付け計画作成業務を約2.5時間に短縮できた。
日本郵船と富士通は、これからのトライアル運用の中でさらなる処理の高速化を図るなどのシステムのレベルアップを進め、2022年4月からの本格的な運用開始を目指す。