SAPは米国時間11月8日、「Responsible Design and Production」ソリューションを提供開始したと発表した。企業が持続可能な方法で商品を製造できるように支援するツールだ。
同社によると、企業が持続可能なビジネスに関する国や州の複雑な規制に対処しつつ、自社のサプライチェーンにおける製品パッケージやプラスチックについて、理解を深められるようにするのが狙いだ。
「私たちは毎年、地球が再生できる2倍以上の資源を消費している。企業は、資源を廃棄せずに再利用する賢明で責任ある製品設計により、その価値を循環システムにより長くとどめることができる」と、SAPの取締役でカスタマーサクセス責任者のScott Russell氏は説明した。
「廃棄物をなくし、責任ある材料を使用する製品設計は、本質的に複雑だ。SAPのResponsible Design and Productionはそうした複雑性に対処し、顧客に定石となるソリューションを提供して、循環型製品と再生経済の実現を支援する」(同氏)
同社はGoogleとMicrosoftに続き、持続可能性や炭素排出を追跡できるツールを備えたプラットフォームを提供するテクノロジー大手となる。GoogleとMicrosoftはこの数週間の間に、同種のプラットフォームを発表し、具体的なデータや情報を提供して、企業のサプライチェーンが環境に与える影響を把握できるようにした。
SAPの広報担当者は米ZDNetに対して、このプラットフォームが対象とするのは消費財分野の企業、特にプラスチック包装を使用している企業だと語った。
このプログラムは、すでに世界の大手ブランド企業が試験運用を進めており、8日に一般提供が開始された。
「SAPは環境を保護し、循環型経済の中で再生可能なビジネスを構築することに、長らく注力している。そのため、企業が包装材のデザイン、製造プロセス、販売されている商品の場所を可視化できるソリューションの開発に取り組んだ」(広報担当者)
「当社は、2022年のプラスチック製包装税を計算し、プラスチックに関する事業と政府の規制に準拠できるように、Responsible Design and Productionソリューションを開発した。このソリューションは、中核的なビジネスプロセスに循環原則を組み込み、企業によるデザインの最適化を支援している。例えば、シャンプーのブランドマネージャーは、拡大生産者責任(EPR)義務やプラスチック製包装税を含む、製品のライフサイクル全体を把握できる。この可視化によって、廃棄物を最小限に抑えるデザインを選択し、下流の廃棄物システムのコストを削減するビジネス上の意思決定ができる」(同)
このクラウドネイティブなツールは、Accentureの協力を得て、「SAP Business Technology Platform」を通じて開発された。
エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)の最高経営責任者(CEO)、Andrew Morlet氏によると、循環型経済を支える3原則は、廃棄物と汚染をなくす、製品と材料を循環させる、自然を再生することだという。
「デジタルソリューションは、循環型経済に移行する上で重要な役割を担っている」とMorlet氏。「廃棄物の削減を視野に入れた製品設計から、使用する材料のライフサイクル追跡まで、企業が循環型の手法を事業全体に取り入れられるようにするからだ」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。