ビズリーチが運営するHRMOS WorkTech研究所は、企業の人事担当者を対象にリモートワークにおける人事評価の問題点に関するアンケート調査を実施(2021年10月4~28日、有効回答数は316件)。リモートワークを実施している企業のうち、47%が人事評価における問題が新たに発生、または既存の問題が拡大したと回答した。
この結果を受けて、ビズリーチは「新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、多くの企業でリモートワークへの移行が進んだが、今後の働き方の変化に合わせて、各社は人事評価や従業員間のコミュニケーションの在り方についても対応が必要になる」と指摘する。
リモートワークの実施によって新たに発生した問題については、65.8%が「チームでのコミュニケーション状況の把握・評価ができない」と回答し、57.3%が「モチベーションや感情といった業務外の面の把握・評価ができない」と回答。
多くの企業では、実績や成果だけではなく、コミュニケーション状況やモチベーションなど、定性的な観点を踏まえた人事評価が行われていると推測され、リモートワークによって従業員同士や上司・部下間の対面でのコミュニケーションが減る中、定性的な情報の把握や評価が困難だと多くの企業が感じている状況が鮮明となった。
リモートワークで拡大した既存の人事評価の問題点では、「評価者による評価のばらつき」(48.2%)と「評価基準があいまい」(45.5%)という回答が多かった。
リモートワーク下では、実績や成果以外の情報の把握が難しくなるため、評価者による評価のばらつきやあいまいさが問題として拡大したと推測されるとしている。また、従業員の間接的な貢献やモチベーションをいかに把握するか、コミュニケーションの工夫が必要となるため、「評価者がリモートワーク下でのコミュニケーションに秀でていなければ、人事評価の難度は上がる」と指摘する。
HRMOS WorkTech研究所 所長の友部博教氏は「リモートワークによる新しい働き方は、これまでの人事評価における問題点にも変化をもたらした。対面で仕事をしているときは、会議以外での会話が発生するため、上司と部下の間で情報を共有する時間があった。また、同じフロアにいるだけで、従業員の仕草や表情などの非言語情報を把握でき、それらが評価者にとっては重要な役割を担っていた」とし、「リモートワーク下ではこうした情報が不足するため、マネジメントや人事評価の難度が上がり、特に、実績や成果だけではない評価を行う際に、これらの情報把握に影響があった可能性が高いと推測される」と考察した。
また、「リモートワーク下で発生する人事評価の問題点を解決するために、『リモートワークがよいのか、オフィス勤務がよいのか』という働き方についてのみ議論するのではなく、どのようにすれば従業員一人ひとりの状況を把握した上で適切に評価を行えるかを考えることが重要である」とした上で、その第一の手段としてコミュニケーションの強化を挙げる。「半期の評価面談だけではなく、1on1などマネージャーとメンバー間のコミュニケーションを活性化させる仕組み・ツールが重要となる」
さらに、同氏は「情報収集や集めたデータの効果的な管理・分析ができるテクノロジーも重要になる。パルスサーベイは、タイムリーな従業員のコンディション把握に有効な手段だが、より効果的に従業員の状況を把握・分析するためには、タレントマネジメントシステムのように、従業員一人ひとりの変化を情報として記録したり、従業員情報を一元化することで経年変化や組織・部門単位で分析したりできるツールを用いるのも有効な手段だ」とコメントする。