「クラウドサービスをうまく利用したい」というユーザー企業に、クラウドベンダーのパートナー施策はどう応えているか。本連載ではこの問題意識のもと、取材を重ねてきた。今回はセールスフォース・ドットコムに聞いてみた。
ユーザーがパートナーを検索できるサイトは既に用意
写真1:筆者の取材に応じたセールスフォース・ドットコム 常務執行役員アライアンス事業担当の井上靖英氏
「これまでのようなモノの販売チャネルではなく、ユーザーにサービスをうまく使ってもらわなければならないクラウドベンダーのパートナー施策は、ユーザーが自社に合ったパートナーを選べるようにするための評価基準を明確に示した情報を発信すべきだ」
筆者はこの問題意識のもと、本連載でこれまでアマゾンウェブサービスジャパン(以下、AWSジャパン)、日本マイクロソフト、日本IBMを取材してきた。これら3社の取り組みは、それぞれにリンクした記事を参照していただきたい。
今回は、クラウドサービス専業では最大手の米Salesforce.com(以下、Salesforce)の日本法人セールフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)に話を聞いた。取材に応じてくれたのは、同社のパートナー施策の責任者である常務執行役員アライアンス事業担当の井上靖英氏である(写真1)。
セールスフォースは先頃、Salesforceとパートナーエコシステムによる経済効果「Salesforceエコノミー」を発表。それによると、現在、日本におけるパートナーエコシステムはセールスフォース自体の5倍のビジネス規模となっており、2026年にはそれが6.5倍に拡大すると想定している。
こうした発表は自らの影響力を誇示するためのようにも見て取れるが、井上氏は「パートナーエコシステムが大きく広がっていることで、お客さまにとっても選択肢が広がっている」と、ユーザーメリットを強調した。
では、セールスフォースはパートナー施策として、ユーザーが自社に合ったパートナーを選べるようにするための評価基準を明確に示した情報をどのように発信しているのか。
まず、ユーザーがパートナーを検索する手立てとしては、同社のサイトにある「AppExchange」上で用意されている。AppExchangeはセールスフォースの各種サービスと連携可能なアプリケーションを集めたマーケットプレイスである。このサイトから図1のように表示されるページを通じてパートナーの内容をキーワードによって検索できるようになっている。
図1:AppExchangeサイトの「パートナーの見つけ方」ページ(出典:セールスフォース・ドットコム)