日本ヒューレット・パッカード(HPE)は12月20日、2021会計年度の振り返りと2022会計年度の事業方針について説明会を開催した。現最高経営者責任者(CEO)のAntonio Neri氏のもとで2018年にグローバルで打ち出した「Edge-to-Cloud」を引き続き進めるが、「ハイブリッドクラウドのDay2」としてさらに顧客の課題に切り込み、「データモダナイゼーション」を前面に出していくという。
日本ヒューレット・パッカード 代表執行役員社長の望月弘一氏
説明に立った代表執行役員社長の望月弘一氏は、まず12月1日にグローバルで発表した2021会計年度(2021年10月期)の決算内容を報告した。受注は前年度比16%増、売上高は同3%増、営業利益率は同25%増となり、フリーキャッシュフローは同177%増加。同氏は、「掲げているEdge-to-Cloud戦略が奏功して順調な1年を締めくくることができた」と総括した。
コア事業では、コンピュートの受注が前年比10%以上増加し、ストレージも1桁台後半の増加率となるなど堅調だった。成長領域では、インテリジェントエッジの受注が2桁成長で売上高は前年比13%増の40億ドルになった。HPC&AI(ハイパフォーマンスコンピューティングおよび人工知能)も2桁成長を記録した。ビジネスモデル側で進めているアズ・ア・サービスへの転換も順調で、「HPE GreenLake」の契約総額は15億ドル以上追加となる57億ドルだった。年間経常収支(ARR)では前年比36%、受注では61%とそれぞれ増加し300社以上が新規契約、総数は1250社に到達したとしている。
HPEは、「エッジ」「クラウド」「データ」の3つのメガトレンドに合わせて戦略を組み立ている。それぞれについて望月氏は、次のようにコメントした。
エッジ
Neri氏が2018年の就任時に「4年で40億ドルを投じる」という掛け声とともにエッジへの投資を開始し、4年がかりで進めてきた重点分野。「2018年から累計4000億円の投資をしてきた。結果として、ビジネスも毎年2桁成長を続けている」とした。
クラウド
9割以上の企業がオンプレミスを維持しながら複数のクラウドを使う状態になりつつあるという。一方で、「複合的な環境の相互の連携」などの課題はあり、クラウドに移したくてもセキュリティや規制などの理由から移行できないなど、多くの企業が課題を抱えているとした。
データ
第5世代移動体通信(5G)やIoTが進みつつあり、活用シーンが広がるにつれてデータも増加している。望月氏は、2025年に向けてデータのボリュームは5倍になるという予測を披露しながら、「複合的にまたがる環境の中で、いかに素早くデータにアクセスし、そこからどれだけ多くのインサイトを引き出せるかが企業の競争優位性につながる」とした。
これら3つの技術トレンドに加え、ビジネス側ではアズ・ア・サービスで提供することで「IT側にも俊敏性と柔軟性が必要という声とカーボンニュートラルへの期待にも応える」(望月氏)という。
HPEが考える過去、現在、未来のIT
HPEの戦略では、Edge-to-Cloudのプラットフォームの「HPE GreenLake」が重要になる。「過去、現在のITを進化させ、7割を占めると言われるオンプレミス上のアプリケーションをオンプレミスでもクラウドとして提供する」と、望月氏はHPE GreenLakeの狙いを述べる。複合的なIT環境の中におけるサイロ化されたデータに、透過性を持ってアクセスでき、活用できるデータアクセスとコントロールの要素も備えるという。