電通デジタルは1月11日、「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査」の結果を発表した。それによると、企業の81%がデジタルトランスフォーメーション(DX)に着手しており、2020年度から7%、コロナ禍以前の2019年度からは11%それぞれ増加した。
同調査は日経BPコンサルティングが受託し、2021年9月29日~10月8日、従業員数500人以上の国内企業所属者を対象に実施した。調査対象者の役職は、経営者・役員、本部長・事業部長・部長、課長、係長・主任クラスとなっている。
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「コロナ禍で社内におけるDXの重要度が上がった」と回答した企業は65.1%に上り、新型コロナウイルス感染症の流行が長引く中で、企業はこれまで以上にデジタル化や事業変革を急いでいるといえる。
「変化する消費者や顧客の期待に応えられていると思うか」という設問に対しては、「応えられていない」(8.5%)、「あまり応えられていない」(30.7%)と課題を感じている回答が39.2%に上った。そうした企業はDXへの取り組みが「計画中」「計画自体がない」とする割合が高い一方、「変化する顧客の期待に応えられている」と回答した企業は、DXが「完了している」「複数/一部で取り組み中」とする割合が高かった。このことから、顧客ニーズへの対応とDXの推進は相関関係にあると見られる。
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さらに、DXで既に「成果が出ている」とする企業(成果創出企業)と「取り組んではいるが、成果が出てない」と答えた企業の活動内容を比較したところ、成果創出企業はシステム導入や既存事業でのデータ活用だけでなく、「デジタル時代に対応した事業ドメインへの進化」(13.2%)、「デジタル全社戦略の策定と実行」(11.3%)など、DXで事業変革や新規事業開発に取り組んでいると分かった。
「DXの成果が出ている」とした企業ほど、「変化する社会に対する自社の存在意義」や「デジタル化への対応・DXを通して実現したい価値」といった経営指針を制定している傾向もある。DXの取り組みについて「非常に効果が出ている」と回答した企業は経営指針が「制定されていると強く思う」(58.3%)、「制定されていると思う」(26.2%)だったのに対し、「全く成果が出ていない」と応えた企業は同4.7%、同20.9%だった。
電通デジタルは、自社の経営指針を制定し、既存事業や一部の組織にとどまることなく企業全体の変革を進めることが、顧客ニーズへの対応やDXの成果への近道であると浮き彫りになったとしている。