コニカミノルタパブリテックとチェンジは1月26日、地方自治体の業務デジタル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の支援を目的とする合弁会社「ガバメイツ(英語表記:Govmates)」を4月1日に松山市で設立すると発表した。最大で約300自治体へのサービス提供を見込む。
新会社は、広域の自治体が合併した歴史や業務効率化、デジタル化などが進んでいるとする松山市に本社を置く
コニカミノルタパブリテックは、コニカミノルタが2021年10月に設立した自治体顧客向けDX支援事業を手がける100%子会社。チェンジは、行政デジタル化サービス基盤を提供し、ふるさと納税関連サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクなどを傘下に持つ。
2社は、これまでも行政向けサービスで協業しており、自然言語処理技術を活用した「業務標準化支援AI(GAIA)」を開発。2021年12月に、今回の合弁会社を設立する計画を発表していた。今回は合弁会社の名称や体制などを発表。当初は約50人体制で事業を展開する。
記者会見したチェンジ 代表取締役兼執行役員社長の福留大士氏は、多くの地方自治体が人口減少により労働力不足や都市への人口流出、税収の減少、職員配置の適正化や熟練人材のノウハウの継承などの多くの課題を抱えて存亡の危機にあるとし、合弁会社について「コニカミノルタパブリテックとチェンジのシナジーをさらに深めるもの。誰一人残さない自治体サービスの実現を目指したい」と表明した。同氏は、鹿児島県日置市の出身といい、「地元に帰省する度に活力が失われていく様を見て危機感を抱いており、同じような状況に置かれた全国の自治体を助けたい」と述べた。
コニカミノルタパブリテック 代表取締役社長の別府幹雄氏(左)とチェンジ 代表取締役兼執行役員社長の福留大士氏
コニカミノルタパブリテック 代表取締役社長の別府幹雄氏は、社名について「government(政府)」と「mates(仲間)」を掛け合わせた造語と説明し、「ビジネスパトーナーも含めて新会社が地方自治体のパートナーになることを目指している」と話した。
新会社の事業方針について別府氏は、コニカミノルタパブリテックとチェンジが行政向けサービスの提供で蓄積したデータを活用し、自治体業務の効率化や高度化を図るクラウドサービスなどを展開する。ここでは自治体の業務を中核業務(コア)と非中核業務(ノンコア)に切り分ける。ノンコアについては業務標準化などのビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)やアウトソーシングを利用してコスト削減や効率化を図る。自治体や地域社会の活性化させるためのコアに職員のリソースや税収などを集中できるよう支援していくという。
コニカミノルタは、のべ120自治体の業務データを蓄積・保有しており、これを活用した業務標準化やBPRサービスなどを提供してきた実績があるとする。チェンジは、グループ全体で全国の9割以上と取引しており、行政用チャットサービス「LoGoチャット」や行政手続きデジタル化サービス「LoGoフォーム」を提供している。
サービス概要
別府氏は、これらの実績を基にした新会社の事業戦略として「地域共創パートナー」「データ蓄積・活用」「自治体DXワンストップ化」を掲げる。地域共創パートナーでは、同社が自治体のパートナーとして業務標準化やDX推進を支援する。データ蓄積・活用では同社が保有する自治体業務のデータと「住民視点のデータを持つパートナー」(別府氏)との協業によるサービス実現を目指す。自治体DXワンストップ化では、自治体ごとの課題や取り組みに応じたITサービスなどを提供する「自治体DX支援プラットフォーム」を展開していく。また、総合行政ネットワーク(LGWAN)対応で業務標準化に向けた計画の立案を支援するクラウドサービス「Govmates Pit」を4月に開始するという。
別府氏は、デジタルを活用した業務効率化によるコア業務への注力が自治体から求められているとする。福留氏は、コニカミノルタパブリテックの実績に加えて2021年度中に導入実績が増えるとし、新会社が事業を開始する2022年度は新規を含め200~300自治体へのサービス提供を見込んでいるとした。
事業展開の構想。DX化支援などと同時に、ノンコア業務を対象にした自治体共同利用型のクラウドサービス事業なども行う