コニカミノルタは、地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援するサービス「Govchois(ガバチョス)」を7月1日から提供する。チェンジ(港区)と共同開発したGovchoisは自治体業務の可視化や業務分析、最適化に加えて業務の標準化を実現するという。5月19日に発表した。
コニカミノルタ 常務執行役 デジタルワークプレイス事業本部長 兼 BIC担当 武井一氏は、自治体DXに取り組む理由として「自治体が抱える課題解決が目的。弊社の測定技術や知見は(複合機に代表される)製品に投入してきたが、プロセス改善の実施概念を自治体に展開し、『ものづくり』のノウハウを活用したい」と説明した。
価格は6月20日以降の発表を予定しているが、コニカミノルタ デジタルワークプレイス事業本部 自治体DX推進部長 別府幹雄氏は「正規職員の残業30分に相当する負担感がない程度」と説明する。初年度は100自治体、2年間で1000自治体の導入を目指す。
(左から)コニカミノルタ 常務執行役 デジタルワークプレイス事業本部長 兼 BIC(ビジネスイノベーションセンター)担当 武井一氏、コニカミノルタ デジタルワークプレイス事業本部自治体DX推進部長 別府幹雄氏、チェンジ NEW-IT担当執行役員 兼 株式会社ディジタルグロースアカデミア 代表取締役社長 高橋範光氏
電子と紙が混在して混乱
総務省は、人口ピラミッドの棺おけ型や東京圏と支え手を失う地方圏の格差など諸問題に対応する「自治体戦略2040構想研究会」を2017年10月に発足させ、地方自治体が抱える課題の整理や自治体の多様性に取り組んできた。
同研究会の調査によれば、2025年には医療や介護の給付費は国内総生産(GDP)の成長率を上回り、介護人材の需給ギャップは37.7万人におよぶ。これらの背景を踏まえたコニカミノルタは自社の品質方針をモデル化し、地方自治体に当てはめたのがGovchoisである。
同社はコロナ禍以前から地方自治体業務の調査を続けてきたが、現場からは「作業マニュアルがないから作業分担できない(属人化)」「職場に行かないと仕事ができない(紙書類や判子文化)」「電子と紙の混在による混乱」といった声が集まったという。別府氏は「マイナンバー給付金など申請を電子化しても、受け付け後の処理業務が紙のまま」と笑えない現状をつまびらかにした。
全国50以上の自治体から協力を得て、品質検査技術を持ち込み、「正規職員でなければできないコア業務、非正規職員でも対応可能なノンコア業務に分類。ある自治体ではコア業務が35%、ノンコア業務は65%」(別府氏)にもおよぶことが明白になった。
やはりここでも紙依存の業務が多くを占め、「ノンコア業務の80%以上が紙依存。RPA(ロボティックプロセスオートメーション)やAI OCR(機械学習を応用した光学文字認識)、チャットボットを用いた電子中心の工程に置き換えることで紙依存を減らしていく」(別府氏)と業務全体を鳥観することで業務最適化を図る。
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