経営幹部が組織の「デジタルトランスフォーメーション」(DX)を要求する中、最高情報責任者(CIO)やITマネージャーは危険を避けようと急いで机の下に潜り込もうとしている。あらゆるDXは、要するに「IT部門にビジネス運営の責任を取らせる」ことを意味するからだ。
顧客を喜ばせ、生産を合理化し、意思決定者に凝縮された情報をリアルタイムに届けるための新たな方法を作れと周囲が迫ってくる中、IT担当役員は今何をすべきなのだろうか。まず理解すべきなのは、これは単なる技術的な問題ではないということだ。Thomas Erl氏とRoger Stoffers氏は、最新の著作である「A Field Guide to Digital Transformation」の中で、「特定の技術的イノベーションや手法が広く利用可能になったことで、ビジネスバリューの拡大や成長をもたらす高度な自動化やデータインテリジェンスによって、ビジネスを変革できるようになった」と述べている。
同氏らは、どんなDXの取り組みであっても、検討する必要がある重要な技術分野が7つあると述べている。Arcitura EducationのプレジデントであるErl氏は、ビジネステクノロジーに関する著書を多く執筆しており、サービスのデザイン原則やパターンに関する著作でよく知られている。またStoffers氏は、de Volksbankのエンタープライズアーキテクトを務めている。
両氏によれば、DXに取り入れることを検討すべき技術的な取り組みには、次のようなものがあるという。
データ収集の強化と多様化。Erl氏とStoffers氏は、「DXプラットフォームは、幅広いデータを入力として持つことで、人間の意思決定者に知見に富んだデータインテリジェンスを提供できるようになる。この情報は、意思決定者の意思決定能力を高め、どうすれば新たな製品やサービスのイノベーションを導入できるか見出すのに役立つ」と述べている。また、幅広く多様なデータソースが利用できることは、「ビジネスの自動化を品質と効率の両面で改善することができる、高度でインテリジェントな自動化」を進めることにもつながるという。この分野に関連する技術には、ビッグデータとアナリティクス、IoT(モノのインターネット)、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)などがある。
最新のデータサイエンス。両氏の著書では、「最近のデータサイエンスの進歩は、多くの企業でDXによる自動化の原動力となっている。それらの企業の自動化ソリューションは、真の価値をもたらすインテリジェントなデータのコンスタントな流れによって支えられている」と述べている。関連する技術には、ビッグデータとアナリティクス、人工知能(人工知能)、機械学習などがある。
高度な自動化技術。「ボットは、データの入力や情報の流通など、手作業が必要な幅広い作業を実行させるように設定することができる」という。この分野に必要な技術にはRPAが挙げられる。
自律的な意思決定。「この技術は、従来であれば人間が正しい意思決定を行うために長い時間を必要としていたさまざまな状況に、素早く対応することを可能にする」。この分野に必要な技術にはAIが挙げられる。
一元化され、規模を拡大しやすく、耐障害性が高いITリソース。「クラウドベースの環境は、DXの性能要件を満たすのに必要なインフラを提供することができる」。この分野に必要な技術にはクラウドコンピューティングが挙げられる。
改変不可能なデータストレージ。「暗号資産(仮想通貨)の利用から生まれた安全性が高いストレージ技術によって、改変不可能なリポジトリーは、企業のデータベースと同じくらい重要なものになった」。この分野に必要な技術にはブロックチェーンが挙げられる。
ユビキタスなマルチ体験へのアクセス。これは、「ビジネスのやりとりを行うチャネルを幅広く用意し、顧客が選択できるようにする」ことを意味する。顧客の活動の状態は、どのアクセス手段を使用しても常に以前の状態が保存されている。この分野に必要な技術にはクラウドコンピューティングが挙げられる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。