Flexeraのレポート「State of the Cloud 2022」によると、「Microsoft Azure」の売上高は「Amazon Web Services」(AWS)に後れを取っているかもしれないが、AzureがAWSをしのいでいる部分もあるようだ。
このレポートは2021年第4四半期に技術およびビジネスのプロフェッショナル753人から得た回答をまとめている。ここ1年で導入が大幅に伸びたパブリッククラウドプロバイダーは、Azureのみであることが分かった。
Azureを利用している企業は現在80%で、前年の73%から増加した。一方、AWSは同期間中に79%から77%へと減少した。
「Google Cloud Platform」(GCP)は前年の49%から48%へ減少している。Google Cloudは利益を上げていないが、主要ベンダーで3位を維持している。「Oracle Cloud Infrastructure」は前年の32%から27%へと減少した。「IBM Cloud」は25%で横ばいだった。
レポートは、ユーザーがクラウドで実行しているワークロードが、相当量または一部であるのか、もしくは単にプロバイダーを試しているのかについても調査した。
「相当量のワークロードを実行している」という回答は、AzureとAWSでいずれも47%だった。「一部のワークロードを実行している」ではAzure(33%)がAWS(30%)をわずかに上回った。
Google Cloudを「試験的に」利用しているという回答者は23%だ。市場シェア獲得に取り組む同社が今後売上高を拡大できる可能性を示しているかもしれない。
中小企業(SMB)のパブリッククラウド導入率は、AWSが依然としてAzureをリードしているが、その差は縮まりつつある。AWSが前年の72%から69%へと減少したのに対し、Azureは48%から59%へと拡大した。GCPは39%から43%へと増加している。Oracle Cloudは前年の15%から28%へと伸ばし、IBMは20%から24%へと上昇した。
また、マルチクラウドの伸びが続いており、一般的になりつつある。回答者の79%が複数のパブリッククラウドを採用し、60%が複数のプライベートクラウドを利用している。
その一方で、アプリケーションが個々に異なるクラウドにサイロ化されている傾向が続いているようだ。45%がそのように回答している。そのため複数のクラウドを利用していても、各アプリケーションはプロバイダー1社に縛られているかもしれない。また、44%は大規模なクラウド障害が発生した時のフェイルオーバー用に複数のプロバイダーを利用している。AWS、Microsoft、Googleはいずれも、過去2年間に数時間に及ぶ障害が発生していることを考えると、これは賢明な選択といえる。
マルチクラウドのセキュリティ管理という課題がある。Microsoftは最近、「Microsoft Defender for Cloud」をGoogle CloudとAWSでも利用可能にした。また、従業員1万人以上の大企業が利用するマルチクラウド向けツールでは、マルチクラウドセキュリティツール(41%)が最も多く、マルチクラウドコスト管理ツール(37%)、ガバナンスツール(34%)、マネジメントツール(33%)となっている。
クラウド管理ツールは重要だ。クラウドコストの上昇が続く中、無駄なクラウド支出は大きな問題となっている。無駄な支出があると考えている回答者は32%だった。
AzureがAWSを追い上げている部分があるものの、AWSが依然として最大のクラウドプロバイダーであるといえるだろう。Synergy Researchのデータによると、Amazon、Microsoft、Googleは引き続き、世界のクラウドプロバイダー市場シェアの半分以上を占めており、2021年第4四半期の市場シェアはそれぞれ33%、21%、10%だった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。