クラウドコンピューティングの幕が開けた最初の数年間は、コスト削減が導入に向けた原動力となっていた。しかし今日において、企業はクラウドコストの高騰に直面するようになっている。そして、そういったコスト高に対処するためのプロセスとして、「FinOps」という言葉が注目を集めるようになってきている。
提供:Joe McKendrick
Flexeraが最近、世界各地にいる技術およびビジネスのプロフェッショナル753人を対象に実施した調査への回答を元に作成、公表した「Flexera 2022 State of the Cloud Report」(クラウドの状況レポート2022年版)によると、組織は依然として多額のクラウド支出を無駄にしており、企業幹部の66%はクラウド利用が「今年当初の計画より多かった」と回答しているという。また、回答者らはそういった無駄がクラウド支出の32%に達していると推定しており、この値は2021年における調査での30%から増加している。
さらにレポートの著者らは、「多くの組織は無駄の量を過小評価する傾向があるため、支出の効率が悪くなる可能性が高く、支出の平均額はさらに高まる可能性もある」と記している。そして、パブリッククラウドへの支出は現時点で予算を平均13%超過しており、向こう12カ月で平均29%増加すると見込まれている。
また中小企業では、クラウドコンピューティングへの年間支出が120万ドル(約1億4000万円)を超えているとした回答者の割合は53%であり、2021年の38%から増加している。そして大企業では、クラウドコンピューティングへの年間支出が120万ドルを超えているとした回答者の割合は80%であり、2021年の値(83%)とほとんど変わっていない一方、年間1200万ドル(約14億円)を超える金額を費やしているとした回答者の割合は37%であり、これも2021年の値(36%)から大きく変わっていない。なおクラウドプロバイダー別に見た場合、年間1200万ドルを超える金額を費やしている大企業の割合は「Amazon Web Services」(AWS)で18%、「Microsoft Azure」で15%、「Google Cloud」で7%となっている。
このように、クラウドサービスには膨大なコストが投入されている。しかも月額料金の多くは、使われていない、あるいは使用頻度の低いものの、誰も説明することのできない多数のサービスに費やされている。企業の中には、どこかの部署の誰かが何らかのテストを実行するために3年前に契約し、テストの終了後に放置してしまったクラウドインスタンスの費用を支払い続けているところもあるだろう。