Google Cloudのユーザーでは、この1年でマルチクラウド利用を始めたり検討したりするケースが急増したと、日本法人首脳が記者会見で強調した。マルチクラウド化の動きを歓迎するようにも聞こえたが、その思惑はどこにあるのか。
マルチクラウドでデータを十分に活用できるGoogle Cloud
「Google Cloudは日本でも幅広い業種のお客さまに採用されるようになり、特にこの1年ではマルチクラウドでの利用を始めたり検討したりされるケースが急増している」
グーグル・クラウド・ジャパン 代表の平手智行氏は、同社が先頃オンラインで開いたメディア向けの事業戦略説明会で、こう強調した(写真1)。
写真1:グーグル・クラウド・ジャパン 代表の平手智行氏
記者会見の全容については速報記事をご覧いただくとして、本稿では「マルチクラウド」を巡る話題にフォーカスを当てたい。
確かに企業のIT環境においてはクラウド化が進み、用途に応じて複数のクラウドを利用するマルチクラウドも広がりつつあるが、平手氏の上記の発言はその需要が高まっていることを歓迎するかのような印象を受けた。
その感覚は見事に当たっていた。同氏は上記の発言に続けて、次のように述べた。
「Google Cloudが提供するデータクラウドとしての機能は、分散されているデータの収集から統合、分析、そして機械学習などの人工知能(AI)活用まで、組織で最大限のビジネス価値を生み出すことを可能にする。例えば、Google Cloudや他社のクラウド上にある多種多様なデータを管理するための高度なソリューションを提供し、優れたスケールやスピード、セキュリティ、信頼性によって、それらのデータを高度なAIを用いて分析処理して的確なインサイトを導くことができる」
「例えば…他社のクラウド上にある…」とサラリと述べているが、上記の発言はまさしく「マルチクラウドでデータを十分に活用したいならGoogle Cloudをデータ活用基盤にすべき」とのメッセージだ。
ちなみに、平手氏はGoogle Cloudのデータクラウド機能を説明する際、「データクラウドが選ばれる理由」として表1を示した。見ていただくとお分かりのように、上記の発言はこの表の内容を取りまとめたものである。
表1:Google Cloudの「データクラウド」機能が選ばれる理由(出典:グーグル・クラウド・ジャパン)