クラウドストレージサービスを手がけるBoxの日本法人であるBox Japanは4月21日、2023会計年度新戦略説明会を開催した。顧客がデジタル変革(DX)実現の「はじめの一歩」をしっかり踏み出せるようにするという。
冒頭、Boxの共同創業者兼会長で最高経営責任者(CEO)のAaron Levie氏がグローバルでの戦略に加えて、同社「Content Cloud」の今後の展開を説明した。同社は現在、顧客企業が11万社以上で、Fortune 500企業の67%がBoxを導入している。日本の顧客企業としては小松製作所や日本郵政などがあり、政府、金融、ライフサイエンスといったさまざまな業界で利用されているという。
このような成長の背景には、企業での仕事を変える3つの大きなトレンドがあるとLevie氏。そのトレンドとは、従業員をどこからでも働けるようにする「Anywhere」、ワークフローやビジネスプロセス、顧客とのやりとりなどがデジタル形式へと向かう「Digital-first」、サイバーセキュリティがかつてないほど重要視されるようになっている一方で、コンプライアンスも課題となっていることから「Secure」だという。
このような働き方の未来の中心あるのは“エンタープライズコンテンツ”だとLevie氏は述べ、経理部門なら最新の財務データや契約書、技術部門なら製品や素材の情報、業務部門ならビジネスデータなどを例として挙げた。問題は、あらゆるビジネスの中心にあるこれらコンテンツが「SharePoint」「Microsoft Teams」「Salesforce」といったさまざまな場所に保管されることで分断され、保護されておらずコストのかかる方法で管理されていることだと指摘する。
「このようなコンテンツ管理方法はもはや機能しない。そこで、コンテンツジャーニーを管理する単一の保護されたプラットフォーム『Content Cloud』を開発した」とLevie氏。Content Cloudは、データの取り込みから分類、保護、コラボレーション、自動化、電子署名、公開、分析、ガバナンスといったコンテンツライフサイクルを管理する。
ユーザーが利用するTeamsや「Zoom」「Slack」といったサービスとの統合を可能にするアーキテクチャーを搭載することで、あらゆるコンテンツの管理を単一のプラットフォーム上で可能している。これにより、営業部門は新しいマーケティングコンテンツにすぐにアクセスでき、マーケティング部門は新しいキャンペーンをすぐに展開できるというように、企業は新しい形の働き方を実現できるという。
Boxのプラットフォームは、企業による情報の活用を3つの方法で進化させるとLevie氏は述べ、最も重要であるコンテンツを保護するための最適な方法を提供する「Protect your content」、シームレスなコラボレーションとコンテンツを中心としたワークフローの自動化を可能にする「Empower your people」、顧客が業務で利用する全てのビジネスアプリケーションとの接続を実現する「Connect your business」を挙げた。Boxは、これらの領域で多くの革新を提供するという同氏は語る。
コンテンツの保護においては、データ漏えいやランサムウェアの検出、内部・外部の脅威の検出、Box内にある企業データのコンプライアンス保証のための機能を新たに追加している。
ワークフローとコラボレーションについては、ワークフローを自動化し、Box内でコラボレーションを可能にする機能を提供する。これにより、社内外と問わずファイルへのアクセスやリアルタイムのコラボレーションが可能になる。
その一環としてBoxは先頃、仮想ホワイトボード「Box Canvas」を発表した。Box Canvasは、リモートからでも対面でもブレインストーミングやアイデア出しを可能にする。今秋に一般提供を開始し、順次追加機能を提供する予定。Boxの全プランに含まれ、追加料金なしで無制限に利用できるようになる予定だという。また、2021年に発表した電子署名製品「Box Sign」は、Boxに統合されており、無制限の電子署名が利用可能となっている。
電子署名機能の導入やワークフローのさらなる自動化によりビジネスプロセスの強化することを目指しているとLevie氏はアピールした。
3番目の注力領域であるプラットフォームでは、企業で利用されるあらゆるアプリケーションからコンテンツにアクセスできるようするため、SalesforceやZoom、「Microsoft Office」といったソフトウェアにBoxを統合することを考えているという。